2008年3月29日土曜日

株式49

なお、かつては株式分割で取得単価の縮小により需要が増加しても、新株(株券)が市場に流通するまでに一定期間あったために、株価が上昇する場合があった。しかし、証券取引所からの通達で1:5以上の株式分割を抑止する方針が出されたことや、[[証券保管振替制度証券保管振替機構]]([[証券保管振替制度ほふり]])に預託された株券については[[2006年]][[1月4日]]以降株式分割割当日の翌日を効力発生日とする等の制度改正によって株式分割による需給の空白期間が無くなったことから、需給を原因とする大幅な株価変動は少なくなった。
== 株式分割をめぐる現代的問題 ==従来は、[[額面株式株式の額面額]](券面額、株金額)や[[株券]]の発行コストが株式分割を法的にあるいは事実上限定する役割を果たしていたが(商法旧第166条2項)、額面株式が廃止され([[2001年]]商法改正)、また、株券を必要としない制度([[社債等の振替に関する法律]]、なお会社法においては株券不発行が原則となっている)が整備されたことで、特に[[上場会社]]についてはほぼ無限定に株式分割をすることが可能になり、大幅な株式分割によって株価上昇をさせる手法が問題になった。特に[[2006年]]には[[ライブドア]]の[[ライブドア事件粉飾決算事件]]に絡んで、同社の度重なる株式分割がクローズアップされ「現代の[[錬金術]]」と揶揄された。詳細は[[株式分割バブル]]を参照。

株式48

よって、日本法においては、[[株式併合]]([[b:会社法第180条180条2項]])の場合と異なり、株主総会の特別決議([[b:会社法第309条309条2項]])までは法律上要求されず、[[取締役会設置会社]]においては、[[株主総会]]の通常決議すら不要で、[[取締役会]]の決議のみで分割が可能である([[b:会社法第183条183条2項]])。
実際の例では、1:1.1(かつての言い方でいう1割無償)などの形が多い。分割によって発生した[[単元株単元株式数]]未満の株式については、会社への買取を請求することができる([[株式買取請求権]]、[[b:会社法第192条192条1項]])。
== 背景 ==株式分割は、単元単価が高値をつけており市場[[流動性 (経済学)流動性]]が低下しているなどの状況がある場合、株式分割によって単元あたりの単価を縮小させることで市場流動性を向上させるために行われることが多い。
株式分割によって取得単価の縮小と全体株数の増加によって、市場流動性が高まり株式が取得しやすくなる等の効果がある。

株式47

以前は'''株式配当'''や'''無償交付'''、'''無償増資'''とも呼ばれており、[[商法]]上も株式分割と株式配当、無償交付は個別に規定が存在していたが、[[1991年]]の商法改正で株式分割に統一された。これは、「株主の所有する株式が分割により増加すること」と「株主に対し持株数に応じて一定割合の株式を無償に交付すること」が新株を発行するという点においては法的には同一の事象であるからと説明される。なお、[[2005年]]に成立、公布された[[会社法新会社法]]では、[[b:会社法第185条185条]]で新たに'''[[株式無償割当て]]'''という概念が登場している。これは、[[種類株式]]が制度化されたのに伴い、異種の株式の交付を、従来の株式分割の概念でとらえることが困難になったためである。
== 概要 ==従来の株数を1とした比率で表され、例えば「1:3」の場合、1株に対して2株が無償で、[[基準日]]([[b:会社法第183条183条2項1号]])に[[株主名簿]]に記載された[[株主]]に対し配られることになる。持株数は3倍になるが、(理論的には)[[株価]]は1/3になるので、[[資産]]の総額([[時価総額]])自体は変わらず、またすべての株主の持株数が均等に増加するので持分比率の変動もない。

株式46

平成13年商法改正前は端株券を発行してもらい流通に付すことで投下資本を回収することもできたが、同改正は端株券の発行を禁止し、[[名義書換]]に関する制度も無くなったことから、端株券を譲渡することは出来なくなった。その代わり、会社に対して'''端株買取請求権'''を有する(商法220条ノ6)。
端株主が新たに株式の交付を受け、従来から有する端株と併せて一株となるときは、株主となる(商法220条ノ5第1項)。もっとも、端株券が廃止されたことから、端株の流通により株主となることは無い。[[株主総会]]において[[議決権]]を行使すべき者を定める[[基準日]]を会社が定めたときは、基準日後に株主となった者はその株主総会では議決権を有しない(同条2項)。
会社が定款によって、端株主がその端株と併せて一株となるべき端株を売渡すべき旨を会社に請求することが出来ることを定めたときは、端株主は会社に対して'''端株の買増請求'''が出来る(商法220条ノ7)。

株式45

=== 端株の発生 ===端株が発生するのは、株式の発行、[[株式併合]]または[[株式分割]]により一株の100分の1の整数倍に当たる端数が生じたときである(商法220条ノ2第1項)。ただし、定款により100分の1とは異なる割合を定めることも出来る(同条3項前段)。端数について端株原簿に記載しない旨を定款で定めれば、端株は発生しない(同条3項後段)。
=== 端株原簿 ===会社は、端株となるべき端数が生じたときは端株原簿に記載または記録しなければならない(同条1項)。端株原簿とは、端株主に関する事項を明らかにするために作成される会社の法定帳簿である。端株原簿には、端株主の[[氏名]]及び[[住所]]、端株主の有する端株の種類及び一株に対する割合、端株取得の年月日、その他の事項を記載する。
=== 端株主 ===端株主には、株主の権利のうち[[共益権]](会社の管理運営に参加する権利)は認められない。[[自益権]](会社から経済的利益を受ける権利)は一定のものが認められる(商法220条ノ3)。株式の消却・併合・分割又は[[株式交換]]・[[株式移転]]・[[会社分割]]・[[企業合併合併]]により株式又は金銭を受ける権利、[[残余財産分配請求権]]は全ての端株主に認められる。これに対し、[[利益配当請求権]]([[中間配当]]請求権)、[[利息]]請求権、株式の転換請求権、新株・[[新株予約権]]・[[新株予約権付社債]]の引受権は原則として認められるが、会社が定款で権利を与えない旨定めることができる。

株式44

[[1981年]](昭和56年)商法改正では、株式の[[出資]]単位を5万円に引き上げた([[単位株]])。同改正前は出資単位が500円であったため、一株に満たない端数の価値は微々たるものであったが、同改正により端数の[[経済]]的価値も無視できないものとなった。そこで同改正では、同時に'''端株制度'''についても規定し、一株に満たない端数で、一株の100分の1の[[整数]]倍に当たるものに限り、端株として一定の保護を与えることにした。つまり、端株制度は出資単位引き上げによる[[株主]]管理コストの軽減と端株主の保護の調整のための制度である。
[[2001年]](平成13年)6月の商法改正では、株式の出資単位を[[法 (法学)法]]が強制することをやめたため([[単元株]])、端株制度を採用するかどうか、採用する場合に端株として認める端数をどう定めるかは[[会社]]ごとの判断([[定款]]自治)に委ねられることになった。
さらに、[[2005年]](平成17年)の商法改正では、端株制度を'''廃止'''することにした。これは、制度趣旨が[[単元株]]制度と共通していることから、現実に多く使われている単元株制度に一本化したものである。従って、[[会社法]]に端株についての規定は存在しない。もっとも、会社法234条、235条は一株に満たない端数の処理について規定しているが、制度としての端株は無い。ただし、冒頭でも述べたように、会社法施行前から存在する端株については、会社法施行後においても存在が許され、その処理についてはかつての商法旧会社編の規定が適用されることになる(会社法整備法86条1項)。

株式41

=== 単元株数の決め方 ===単元株式制度を導入するときは、その旨を[[定款]]で明示し([[b:会社法第188条188条1項]])、[[取締役]]は株主総会において理由を説明しなければならない([[b:会社法第190条190条]])。単元株式数については下限は制度趣旨から一株であり、上限については、会社の発行済み株式数が20万株未満の場合は発行済み株式数を200で割った数を一単元の上限とし、20万株以上の場合は一律1000株を一単元の上限とする。一度定めた単元株数を減らす場合には取締役会決議で柔軟に変更できるが、単元株数を増加させる変更は議決権行使可能な株主が単元未満株主にされるおそれがあるため、会社法は[[株主総会決議事項]]としている。
ちなみに、200と言う数値は旧商法で定められていた[[最低資本金制度]](平成2年~平成18年)の最低資本額1000万円を、旧額面株式制度(明治32年~平成13年)で定められていた最低券面額5万円で除した数と言われる。ここで登場する1000万円や5万円については、いずれも法制度検討時に妥当と推測された額であり確たる根拠はなく、そのため200と言う数値にも意味がないと言えるが、両制度が並存した時期もあり会社法改正時にはこれら背景を考慮したと考えられる。

株式40

== 単元株制度 ==単元株制度自体は、旧[[額面株式額面株式制度]]の改革の経緯に由来するもので日本独自の制度といえる。現行制度は旧[[単位株単位株制度]]にかわり平成13年10月施行[[商法]]改正で導入された制度で、'''本来一株しか持たない株主でも株主権を全て認めるべきところを、経済合理性の面から一定の株式以上をまとめて「一単元」と称して単元株主には本来株主に認められる全ての権利を認める一方で、「単元未満」の株主には株主総会議決権などの権利を制限する制度([[b:会社法第189条189条]])'''を言う。昭和56年商法改正時のように「50円額面を50,000円額面に強制的に引き上げて会社の株主管理コストを削減させる(その代わりに1,000株を1単位とする単位株制度が導入された)」ようなことを法定する時代背景もなくなり、(経済的合理性のために[[株主]]の権利を制限する制度であるので[[株主平等原則]]に反するという疑義もなされているものの)株主管理コストについてはそれぞれの会社自身で決定すべきとの考え方が定着し、単元未満株式については[[株式買取請求権買取請求権]]([[b:会社法第192条192条]])によって会社が買い取ることとされるため株主の財産的価値は保護されるため、会社法では株主平等原則の明文化とともに単元株制度の本則化を行っている(従来の単位株制度は商法附則に定められており、全ての会社が[[端株制度]]へ移行するまでの経過措置とされていた。なお、端株制度は廃止された。)。

株式39

== 検証時に注意する事柄 ==変数、一定条件を加えたフィルター、損切りルールなどをプログラムに書き込む事で最適化したり、ルールを絞ったりする事ができるが、カーブフィッティングと呼ばれる将来的には無効になるであろう都合のいい数字を出す危険がある。他に注意する事柄として[[大数の法則]]、最大ドローダウン、連敗数、資金残高曲線などがある。特に[[大数の法則]]はシステムトレードの要であるため注意が必要。そのためシステムトレードでは自然と短中期戦略にならざるを得ない。

株式38

== システムトレードの手法 ==主にクロス系、ブレイクアウト系、パターン系、裁定系などがある。有名な物は『移動平均の交差』『3点チャージ法』『タートルズ・ブレイクアウトシステム』などがある。過去のデータを用いて検証し、対象とする市場と相性の良いシステムを選択する。データは証券取引所やデータ配信会社から購入するが、公開株式の日足データは無料の[[Yahoo!]]などのポータルサイトから取得することも可能である。一般投資家が[[自動売買]]をする場合、データ収集、売買判断、注文、決済などの計算と処理を自動で行なわせる必要がある。楽天のRSS、[[UWSC]]、[[トレードステーション]]、[[オートレ]]などを使用する場合が多い。海外では市販プログラムを利用し、[[API]]を公開し対応している証券会社等を通して注文する場合が多く、今後移行していくと思われる。24時間取引が行なわれる[[外国為替証拠金取引]](FX)に関してはAPIを利用した市販プログラムの利用率が増えている。

株式37

米国では既に一定の評価を得ている投資法。最近では日本の書籍・雑誌の中で扱われて始めている。投資判断を投資家個人の経験や勘といった裁量的なものではなく「指標Xがn値になったら買う・売る」など過去の検証が可能な数値や指標などの組み合わせで作成、検証した売買ルールにより一貫して行う。(よって、必ずしもコンピュータなどで完全に自動売買されることを指すものではない)
主な長所は、感情的な投資判断を除去できること、作成した売買ルールを過去の株価データを用いて検証し評価する事ができること。主な短所は、過去に無い相場に遭遇したり、過度な最適化、売買ルールが一般に浸透すると、効果が低下したり逆に損失を出すことがあること。(実例として日本で利益のでるシステムが米国では損失をだす事がある。)

株式36

===連続ストップ時===特例として、ストップ高/ストップ安が3日連続で続いた場合には、値幅制限を2倍とする拡大措置がとられる。
以下の条件を全て満たした場合、上限値幅のみ2倍に拡大される。逆に、同様の条件で3日連続ストップ安の場合は、下限値幅のみ2倍に拡大される。
この拡大措置は、連続ストップ高/ストップ安が途切れた日、または出来高の条件を満たさなかった日の翌営業日から解除され、通常の値幅制限に戻される。
===[[ジャスダック証券取引所]]における新規上場銘柄===ジャスダック証券取引所では新規上場銘柄の値幅制限に関して、他の証券取引所と異なった扱いをしている。
上場日においては発行価格または売出し価格を基準値段として、また初値決定前の上場日翌日以降においては前日の最終気配値段を基準値段として、その4倍を上限、その1/4倍を下限として制限する。この制限は、当日の初値形成後もそのまま適用される。
===社会情勢の混乱===また、社会情勢の混乱などで大暴落が予想されるときには、値幅制限の縮小といった臨時措置がとられる事がある。最近では、[[アメリカ同時多発テロ事件]]が発生した翌日、東証の値幅制限が通常の2分の1に縮小された。
== 制限値幅一覧 ==[[呼び値]]単位の切り上げによって、制限値幅は規定された金額よりわずかに大きくなる場合がある。

株式35

値幅制限は、[[証券取引所]]の目的の一つである適正な価格の形成と、不測の損害からの投資家保護という目的から制定されている。
前営業日の[[終値]](特別気配のまま引けた場合は最終気配値)を基準株価とし、この基準株価から変動できる上下の範囲を価格帯ごとに定めている([[値幅制限#制限値幅一覧下の表]]を参照)。
日本の証券取引所では全て値幅制限を採用しているが、[[JASDAQ]]のマーケットメイク銘柄に限り、値幅制限が適用されない。これは、マーケットメイカーが適切な気配値を提示する前提のシステムだからである。値幅制限に代わり、30%以上の株価変動があった場合に15分間の取引停止となる'''サーキットブレイク'''という制度が設けられているが、これはあくまで相場の沈静化を促す手段であり、値幅制限ではない。(サーキットブレイクの発動条件は相場の情勢により例えば15%に縮小されるなど変更される場合がある)。従ってマーケットメイク銘柄の売買においては注意が必要である。
また、正式な取引所ではない[[グリーンシート]]においても気配値を提示するスタイルであることからマーケットメイク同様に値幅制限が存在しない。

株式34

日本の株式市場における株価の決定方式は大きく二つに分けることができる。一つはオークション方式といい、売買当事者が希望する価格と数量を[[証券取引所]]に告げることにより、証券取引所側で約定を行うもので、日本では一般に使用されている決定方式である。もう一つは[[マーケットメイク]]方式といい、[[マーケットメイカー]]となった証券会社が、確実に成立する気配値を出して売り方と買い方を募るもので、日本ではごく一部の[[銘柄]]において採用されている方式である。
株価の変動を把握するために作成する図のことを[[罫線表]](チャート)と呼び、その主なものとしては[[ローソク足]]や[[一目均衡表]]などが挙げられる。また、個別の銘柄の株価ではなく、特定の市場全体の動向を把握するために複数の株価を元に算出した値が[[株価指数]]であり、[[東証株価指数]](TOPIX)や[[日経平均株価]]、[[毎日新聞]]による[[日本株30]]などが有名である。

株式33

'''株価'''('''かぶか''')とは[[株式市場]]における[[株式]]の価格のことという認識が強いが、正しくは「'''[[株式市場]]において、目的の[[株式]]に対して直近に約定があった値段'''」のことである。一方的に売りまたは買いの注文が多く、''[[約定]]に至らない''値段のことを''気配値''(けはいね)という。
特に、一日の最初に取引された株価は'''始値'''、最後に取引された株価は'''終値'''といい、[[立会時間]]中で最も高い株価を'''高値'''、最も安い株価を'''安値'''と呼ぶ。これらの四つの値を合わせて'''四本値'''と呼び、一日の株価の変動を見るための重要な値とみなされている。また、[[証券取引所]]内で売買取引をする際の株価を[[呼び値]]とも表現する。
株価は市場の原理に従って変動するが、あまりにも急速な変動は投資家が不測の損害を被ると考えられ、一日に変動できる株価は一定の範囲に制限されている。この制限が[[値幅制限]]で、株価が[[値幅制限]]の限界まで急騰・暴落することをそれぞれ[[値幅制限ストップ高]]・[[値幅制限ストップ安]]という(ただし、株式が上場された初日において、始値が決定されるまでの間には[[値幅制限]]がない)。また、株価の変動は、時々の株価によって決まる[[呼び値単位]]を最小単位として変動する。

株式43

通常、一単元は会社の株券発行単位とリンクするため1,000株、500株、200株、100株、50株、20株、10株といった定めをしている上場会社が多い。
== 単元未満株式買増制度 ==単元株制度を導入している会社では、単元株未満株主による買増請求制度(所有の単元未満株式と併せて1単元となる数の株式を会社に買増請求することを可能にする制度;[[b:会社法第194条194条]])を定めることが可能である。単元未満株式買増制度を採用している会社の単元未満株主が行使できるこうした権利を会社法上では「単元未満株式売渡請求」権と称しているが、これは株主を主体としてみたときに会社が自己株式を売渡すことを請求することができると言う意味であり、会社が株主に対して株式の売渡を請求するものではない(会社がそのような請求ができるのは[[非公開会社]]株式が相続された場合や[[b:会社法第108条108条]]により発行された[[取得条項付き株式]]について生じる場合など限定的である)。
== 上場会社の表示株価と取引株価の誤解 ==日本の上場会社の株式を売買する場合に一般に相場で表示される[[株価]]で売買できるのは一部の単元株制度非採用会社であり、通常は取引所'''表示株価'''に'''単元株数'''を乗じた額が実際の'''取引株価'''となる。この点は株式市場で一般投資家の誤認を生じさせる可能性が高く株式投資解説書などに頻繁に注意として表示されているが、[[証券取引所]]は旧商法が単元株制度を過渡的制度として捉えていた点を重視していることや表示株価と取引株価が違うのは商習慣であることなどから、株価の二重表示について特段の措置を取っておらず、会社法で単元株制度が本則化された後もこの姿勢に変化はない。日本の上場会社は歴史の古い会社も多く、したがって各会社の単元株数もさまざまであるため表示株価と取引株価の換算は一般的には容易ではないことから「貯蓄から投資へ」の政策にあわせて改善することが望まれている。

株式42

=== 単元株数の調べ方 ===単元株数は会社の登記事項であり[[商業登記商業登記簿]]に記載されるため、会社の商業登記簿の閲覧により誰でも調べることが可能である。また、上場会社にの単元株数については新聞紙上の株式欄に単元株数別に銘柄にマーキングがされていることから、容易に調べることができる。また、上場会社のウェブ上で[[IR]](投資家情報)サイトに単元数が表示されている場合もある。ただし、新興企業などは単元株制度を採用していないことも多くあり、全ての会社が単元株数を決めているわけではないことには留意する必要がある。
[[2008年]][[1月1日]]現在で、1,000株を超える単元の定めをしている上場会社は、1単元2,000株の[[近畿日本鉄道近鉄]]の[[関連会社]]である[[きんえい]]のみである。同社は旧商法典の認めた単元株数を経過措置によって継承してきたもので例外と言える。なお、かつて1単元が3,000株であった[[東海観光]]は「[[時価総額]]に比べて発行済株式総数が多すぎるために、今般、当社株式を併合して発行済株式総数の適正化を図り、株主・投資家の方にとって1株あたりの諸指標や株価が、当社の状況に即してよりわかりやすく表示されることを目的」として[[2007年]][[6月1日]]をもって[[株式併合]]により1単元が1,000株となった。

株式27

====株券の記載事項====株券の番号、発行年月日、株数、株主の氏名、[[取締役]]の[[署名]]、会社の[[商号]]、会社の成立年月日、株式の内容(普通株式か、種類株式であるか)、などを記載することが要求される。
====株券喪失登録制度====商法施行来、株券を紛失または盗取された株主は他の有価証券の権利者と同様、[[非訟事件手続法]]に定められた公示催告手続の下、[[除権判決]]により権利の回復を図らざるをえなかったが、[[善意取得]]を阻止できないなどその実効性が薄かったため、[[2002年]](平成14年)改正商法において、[[株券失効制度]]が導入された。しかしながら、株券失効制度によっても、(1)株主が確定的に権利を回復するまで1年を要する (2)株券の移転による善意取得を阻止することが困難である、等の不備は、株式の譲渡を株券による限り回避しえず、抜本的な解決策が求められた。[[2005年]]に成立した[[会社法]]においては'''株券喪失登録簿制度'''が新たに導入されている([[b:会社法第221条221条]]~[[b:会社法第232条232条]])。

株式23

==会社法での株券=====株券の発行===株券発行会社は、株式を発行した日以後遅滞なく、当該株式に係る株券を発行しなければならない([[b:会社法第215条215条]]1項)、また、株式の併合、分割をしたときは、その効力を生ずる日以後遅滞なく、併合、分割した株式に係る株券を発行しなければならない(215条2項3項)。
[[公開会社でない会社公開会社でない]]株券発行会社は、株主から請求がある時までは、これらの規定の株券を発行しないことができる(215条4項)。
===株式の譲渡===株主権の移転(株式の譲渡)は株券の交付のみにより、株券の[[占有]]者は適法の所持人と[[推定]]される([[b:会社法第131条131条]]第2項)。会社は、株券を提示され名義書き換えを求められた場合、正当な理由のない限り、これを拒否することはできない。また、株券を紛失または盗取され、それが第三者に[[善意取得]]される可能性があり(旧商法229条)、善意取得されると、株主名簿の記載有無にかかわらず当該株券記載の権利を失うこととなる。即ち、株券は、有価証券法理の支配する証券流通の領域では完全な[[無記名証券]]

株式22

==実体としての株券==株券の作成方法としては、証券印刷会社に委託して作成する方法と、市販の株券用紙に[[チェックライター]]等で株数その他の必要的記載事項を記載する方法がある。大企業では前者の方法を採るが、小さな企業ではコスト面から後者を選択することも多い。さらに、実際は株券不所持制度を利用し、実体としての株券を発行しないことがほとんどである。また、株式の譲渡を定款で制限しているような会社については違法を承知で株券自体を発行しないこともあったといわれる。
[[証券取引所]]において株式が取引される、即ち[[上場]]の条件として、偽造変造防止の観点から、発行される株券(但し、証券取引所における流通単位である1株券または1[[単元株]]券のみ)が、各証券取引所において十分な管理組織を有していると確認された印刷会社において印刷され、かつ各取引所において定める様式に適合する株券(適合株券)であることを要する。そのため、例えば[[東京証券取引所]]においては、[[大日本印刷]](株)、[[凸版印刷]](株)、[[共同印刷]](株)、[[プロネクサス]](株)、[[瀬味証券印刷]](株)、[[昌栄印刷]](株)、[[図書印刷]](株)、[[サンメッセ]](株)及び[[国立印刷局]]とされるように、高度な印刷技術と厳しい管理体制を有する一部の印刷会社においてのみ、上場株券の印刷が可能となっている。

株式32

ストック・オプション会計の難点は、公正価値の測定にある。ストック・オプションはコール・オプションであるため、ブラックショールズ理論の応用がよく知られている。しかし、この理論は権利行使が満期時のみにできる形式のオプションを評価するために開発された。ストック・オプションの権利は、いつでも行使できるアメリカン形式である。このため、金融工学では格子モデルを使うのが一般的である。ウエイリー・モデルは格子モデルを正確かつ効率よく近似計算するものである。これには専門のソフトがあり、例えば、村中健一郎著「ストック・オプション公正価値測定の実務~現場ですぐに使えるストック・オプション計算ソフト付き」(ダイヤモンド社・2007年)にはエクセル(Windows)で公正価値測定ができる計算ソフトが付いている。入力する基礎数値は、1.株価、2.権利行使価格、3.ボラティリティ、4.利子率、5.配当率、6.残存期間となっている。

株式31

==企業の会計処理==昨今、話題となっているのがストックオプションの費用化、という会計処理である。これは従来、取締役、従業員にストックオプションを無償給付した際にオフバランスされていたものを、オンバランスしようという変更である。この会計処理の変更には、[[原価即事実説]]、[[原価即価値説]]という二つの相対する考え方が根底にある。
==税務上の取り扱い==国内企業が国内の従業員などに与えているストックオプションは、原則として「[[給与所得]]とする」と税法上定められている。
これに対し、外資系企業の日本法人の従業員などに与えたストックオプションの行使で得られた利益にかかる[[税金]]については、対象となる外資系企業(親会社)と直接の雇用関係がないことから、[[1998年]]分までは、税額の低い「[[一時所得]]」として処理されていたが、その後、国税当局が[[給与所得]]として申告するよう統一指導を始めたため、課税区分をめぐり約100件の訴訟が係争中であるが、2005年1月25日、最高裁は「[[給与所得]]に該当する」との初めての判断を下した。

株式30

本来は[[新株予約権]]と同義であるが、カタカナでストックオプションと書く場合には、Employee Stock Optionsをさすものとして、以下の意味で用いられることが多い。
'''ストックオプション'''とは、[[会社]]([[企業]])の役員や従業員が、一定期間内に、あらかじめ決められた価格で、所属する会社から自社[[株式]]を購入できる権利をいう。
[[株価]]が上がれば上がるほど、社員や役員が得られる利益も大きくなるため、業績に貢献した役員らのボーナス([[賞与]])として利用する企業が多い。
[[1997年]]、[[商法]]改正により日本企業への導入が全面解禁され、外資系企業の子会社日本法人等を中心に、親会社の株式を対象としての導入が相次いだ。
==導入のメリット==ストックオプション制度には、賞与を現金で支払う場合に比べて、以下のようなメリットがある。*手元に現金がある必要がない。このため、財務の余裕がなくても人材を集められる。*株価に基づく報酬体系である。このため、指標が明確であり、また会社(株主)の目標と従業員の目標の間にズレが生じない。*株価が上昇基調にある限り、従業員の忠誠心やモラルの向上が期待できる。*税務上のメリット

株式29

なお、未公開株の売買の場を[[証券会社]]の業界団体である[[日本証券業協会]]が、[[1997年]]に[[グリーンシート]]市場を作って提供しているが、グリーンシート市場以外の未公開株の扱いは、原則として行っていない。
証券取引法上、未公開株の購入は、当事者間の売買を除くと、証券会社を介すことが必要となる。ただし、[[匿名組合]]投資で未公開株式を購入することは事実上可能である(ただし、株券の交付を受けることは出来ない)。
==事件==企業の株式が、新規に証券取引所に公開される場合、直前に未公開株を一般に向けて販売(売り出し)するが、公開直後には販売価格よりも[[市場価格]]が上回ることが多いため、絶好の利ざや稼ぎとなる。
[[リクルート事件]]の場合、リクルートコスモス(現 [[コスモスイニシア]])社の公開前の未公開株が、[[賄賂]]として利用されたこともある。このため、将来の株式公開をにらんだ、未公開株の販売や投資などといった[[詐欺]]行為が、2004年頃から問題になっている。

株式28

==非上場企業の株式==[[証券取引所]]に[[上場]]している[[企業]]の[[株式]]は、基本的に[[株式公開]]しているため、証券取引所で(一般には[[証券会社]]を窓口として)売買することができる。これに対して、上場していない企業の株は株式公開していない。その株式公開していない株式を'''未公開株'''と呼ぶ。
未公開株は、創業者やその親族、取引先、[[ベンチャーキャピタル]]といったところが多く保有している。株式公開していないので証券取引所で売買することはできないが、譲渡価格など条件面で合意さえすれば、当事者間で売買は可能である。[[ストックオプション]]により子会社や社員に株を譲渡する企業もある。
証券取引所で売買できない以上、証券会社でも取り扱うことは基本的に出来ないが、ごく一部の証券会社では未公開株も取り扱っているところがあり、[[株式新聞]]など専門紙でも実勢価格が掲載されることがある。

株式26

2005年に成立した会社法においては、すべての株式会社につき、定款で株券を発行する旨の記載がない限り、株券を発行しなくてもよいこととされた([[b:会社法第214条214条]])。株券を発行すると定款で定めている株式会社のことを特に'''[[株券発行会社]]'''とよぶ。ただし、経過措置として、会社法施行時(2006年5月1日)に株券不発行の定めをしていない会社については、その会社の定款において株券を発行する旨の定めがあるものとみなされた(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律76条4項)。
===株券発行会社=======有価証券としての株券====株券を証券という観点から見た場合、「物的証券」・「利潤証券」・「支配証券」という三つの異なる側面を持つと言える。;物的証券 :株主の持つ[[残余財産分配請求権]]に着目した場合、株式は会社の[[資産]]を分割したものであるから物的証券であると考えられる。;利潤証券 :株主の持つ[[利益配当請求権]]に着目した場合、株式は配当という利潤を生む証券であるから利潤証券であると考えられる。このため[[理論株価]]には、将来にわたって期待できる(利率を考慮した)配当の総額が含まれる。;支配証券 :株主の持つ[[経営参加権]]に着目した場合、株式は[[議決権]]を行使して会社を支配するものであるから支配証券であると考えられる。

株式25

===株券不発行制度と株券不発行の原則化===[[2003年]][[9月]]、法制審議会で全面的な「株券不発行制度」を導入するための商法等の改正案の要綱がまとめられた。[[2004年]][[6月]]には、「株式等の取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律」(この改正法の中において「商法」「社債等の振替に関する法律」(改正後の名称は「社債、株式等の振替に関する法律」)などの法律が改正された)の改正が成立し、[[証券取引所]]に[[上場]]している株式会社については、2009年6月までに一斉に「'''株券不発行制度'''」に移行することとなった([[株券の電子化]]と呼ばれる。現時点において、2009年1月を予定)。
「ほふり」((株)証券保管振替機構)に株券が預託され、登録された株券についてはそのまま新しい振替制度に移行される。仮に、株券を「ほふり」に預託しなくとも株主名簿において名義が本人名義に書き換えられていれば権利を失うことはないが、株券が手元にあり、かつ株主名簿の書換えをしないまま2009年1月を迎えると、株券に係る権利を失うおそれがあるので注意が必要である。

株式24

===株主名簿と保管振替制度===株券を購入したり譲り受けたりしただけでは、株主権を行使するにおいて発行会社に対抗することはできない。名義書換の手続きを行い、発行会社の[[株主名簿]]に氏名、住所、持ち株数を記載する必要がある。この手続きを忘れていた株式は[[失念株]]と呼ばれ、旧株主と新株主の間で、新たに割り当てわれた新株の所有権等をめぐってトラブルになることがある。ただし[[証券会社]]を通じて購入した場合には、通常、[[証券保管振替制度保護預かり制度]]および[[証券保管振替制度株券保管振替制度]]を利用することになり、株式を購入した段階で自動的に[[株主名簿]]に購入者の氏名等が記載される。株券保管振替制度のために作られた[[株式会社]][[証券保管振替制度証券保管振替機構]](通称:ほふり)は、この制度に沿って株券を一括して管理する機構である。

株式21

== 証券取引所への上場 ==転換社債型新株予約権付社債は各[[証券取引所]]に[[上場]]されているものも多い。証券取引所に上場することのメリットとして以下が挙げられる。
*[[流動性 (経済学)流動性]]が確保できること*[[私募]]・海外発行と違い、国内一般投資家に対する不公平感がないこと*決済手続きが簡便になること
なお、いわゆるMSCBのうち、修正が6か月に満たない間隔で行われ、さらに下方修正転換価格が参照価格を下回って決定されうるものは、[[東京証券取引所]]においては上場を認められていない。
==会計上の扱い==会計上では、転換社債型新株予約権付社債は、転換前は貸借対照表上の[[負債]]に計上される。社債が株式に転換された場合、転換された社債の分負債が減少し、株式に転換された分[[純資産]]が増える。

株式20

転換社債型新株予約権付社債は、平成14年以前は単に「転換社債」と呼ばれ、「[[新株予約権付社債ワラント債]]」と区別されていたが、[[新株予約権]]に関する規定を明確化した[[平成14年]][[4月1日]]の改正[[商法]]の施行により、従来の転換社債と従来のワラント債とは債券種別が同一となり、同じ「新株予約権付社債」という区分の中で債券の内容が異なるものであると定義された。両者を区別するときは、従来の転換社債は'''転換社債型新株予約権付社債'''、従来のワラント債は'''[[新株予約権付社債]]'''と呼ばれることになった。
新株予約権を行使された発行会社は、基本的には新株を発行して行使者に交付するが、平成13年10月1日施行の改正商法により[[金庫株]]を交付する事もできるようになった。
== リスク ==株式と[[債券]]の利点を兼ね備えた転換社債型新株予約権付社債は、[[債権者]]に利益だけをもたらす物ではない。発行元は自社株価の上昇を見越して転換社債型新株予約権付社債を発行し、後日株式で[[負債]]を支払う事で、[[キャッシュ・フロー]]の合理化を目論む。しかしそのあてが外れて株価が下落した場合は、負債を現金で支払わざるを得なくなり、結果として[[資金繰り]]が悪化する。[[ヤオハン]]のように破綻・倒産した企業もある。

株式19

== 概要 ==転換社債型新株予約権付社債は、[[普通社債]]とは異なり、[[社債]]を転換価額(事前に決められた株式への転換の価額)で[[株式]]に転換することができる点に特徴がある。なお、途中で転換価額が変更される条項のある商品もある。投資家から見れば、転換価額よりも[[株価]]が上昇すれば、株式に転換、売却する事で利益を得ることができる。逆に転換価額よりも株価が下回れば、転換せずに満期日まで待つ([[満期償還]])ことで社債としての利息を受け取り続けることもできる。このように普通社債に比べて投資家に有利な条件を持つといえるため、発行体は通常は[[利子金利]]を低めに設定することができる。
転換価額を株価の変動に応じて上下に修正できる条項のあるものは、一般に'''MSCB'''(moving strike convertible bond '''転換価格修正条項付転換社債'''あるいは'''下方修正条項付転換社債''')と呼ばれている。ただし[[会社法]]上は「転換社債型新株予約権付社債」と区別はされていない。アメリカ合衆国では、MSCBのうち転換価格の下方修正に下限が定められていないか、あるいは下限があったとしても非常に低いものを俗に'''Death Spiral Convertible Bond'''と称することがある。下方修正条項には、転換価額が株価から一定割合以上乖離したときに発動されるものや、特定日の株価を元に転換価額を修正するものなどがある。

株式18

;新株予約権の性質#株式や社債とは別個独立に発行可能。#募集新株予約権の割当てを受けた者は割当日に新株予約権者になる。(募集株式の発行の場合は払込期日に株主の地位を得る。)#募集新株予約権の割当てを受けたにも関わらず払込期日までに払込みをしなかった者は失権する。#株式と同じく譲渡制限を附す事が出来る。(但し株式の場合とは違い定款に定める必要はく、発行決議時にそう定めていればよい。)#株式と同様に取得条項を附す事が出来る。(但し取得請求権を附す事が出来るとする規定は存在しない。)#新株予約権の行使より得られる株式の総数は、発行可能株式総数から発行済株式総数を控除した数を超えてはならない。(但し行使期間の初日を迎えてない新株予約権にはこの規定は適用されない)* 新株予約権の内容一般につき、[[b:会社法第236条236条]]を参照。* 共有に属する新株予約権の権利行使の方法につき、[[b:会社法第237条237条]]を参照。

株式17

に制限され用語自体は破棄された。これにより、募集株式の発行の際に第三者が有利発行を受ける権利については名称そのものが存在しない事になった。更に、平成13年改正までの新株予約権は[[新株予約権付社債新株引受権付社債]]のように社債に附され、分離する事が不可能であったがこの改正により単独発行が認められるようになった。そのため'''新株予約権'''のみを売買することが可能となった。しかし[[転換社債型新株予約権付社債転換社債型新株予約権付社債(CB)]]の様に新株予約権付社債の形式で発行された新株予約権はなお従前の通り、分離処分は出来ず[[社債]]部分の金額をもって[[株式]]に転換する権利を持つとされた。上記の様な概念の整理に至ったのは、平成7年の商法特例法制定によって特定の会社に先行導入されたストックオプション制度(それ以前に会社実務においては擬似ストックオプションという制度が普及していた)が平成9年の商法改正により本格的に導入された事とも関連する。平成9年当初のストックオプション制度は自己株式方式と株式引受権方式とがあったが新株引受権が定款規定が必要であったり株主総会で導入に付き、正当な理由があることを述べなければならなかったりと導入の障害になる規定が多かったため、平成13年商法改正で新株予約権の制度を創設し、ストックオプションとは、株主以外の者への新株予約権の無償での有利発行であると整理して、自己株式方式と株式引受権方式によるストックオプションの規定を削除した。

株式16

== 用途== 新株予約権制度は以下の用途で用いられることが多い。#日本的な意味における[[ストックオプション]]としてのインセンティブ報酬#資金調達の手段#負債の担保#[[企業買収買収防衛策]]の一手段(いわゆるポイズンピル)新株予約権の機能は様々であるが大別すると上記四種になる。1は本来制度創設時に予定されていた用途である。2は、有償で新株予約権を発行した場合、①株式発行とは違い、発行しても行使されるまでは資本金の額が増加しない、②金融機関からの融資とは違い、負債が増えない、と言う性質を利用した用途である。直接金融(金融機関を介さない資金調達)の方法として利用される。3の具体例は、[[新株予約権付社債]]・[[転換社債型新株予約権付社債転換社債型新株予約権付社債(CB)]]等である。4は、M&Aの項を参照。== 概念の沿革 ==従来、新株予約権は、新株引受権と呼ばれていた。しかし、この語は「新株発行の際に優先的に新株を引き受ける権利」と「会社に対して行使することにより有償で新株又は自己株式の交付を受けられる権利」の両方の意味を持っていた。そのため、平成13年商法改正時にこの概念を分離し、前者を新株引受権、後者を新株予約権と定義した。また、新株引受権は、行使をする者を限定しない概念であったが会社法制定に伴い新株引受権の行使権者は「株主」

株式15

=== 取得条項規定 ===全部の株式の内容について付す事の出来る取得条項とほぼ同じであるが、取得対価として、その会社の別の種類株式を設定できるという部分が異なる。理由は上記の取得請求権と同様である。取得請求権は、取得に関してアクションを起こすのが「株主」であるのに対し、取得条項は、取得についてアクションを起こすのが「会社」である事に注意が必要である。また、前節でも述べた通り、対価の柔軟性が図られている為従来の原則であった金銭以外に、他の株式、社債、新株予約権等も取得対価として交付が可能である。詳述は取得条項の項を参照。
=== 全部取得条項規定 ==={{節stub}}
=== 拒否権規定 ===この規定も上記の譲渡制限と同じく従来(会社法以前)は株式の種類とは位置づけられてなかったが、会社法から種類株式の一種とされた。
=== 役員選任権規定 ===
== 種類株式の設定 ==定款に定めないとその効力を有しないため、定款変更が必要となり株主総会で特別決議が必要となる。しかし、種類株式発行会社が任意の発行済種類株式に新たに別の権利内容の規定を設ける場合は、当該種類株主による種類株主総会特別決議を要し、設定する規定によっては、種類株主総会の特殊決議や該当する種類株主全員の同意が必要になる場合もある。

株式14

[[会社法]]制定以前までは株式の種類とは位置づけられていなかったが、会社法から種類の株式と位置づけられた。今まで、種類の株式に譲渡制限をつける事ができるか否かは疑義があったがこれにより、'''株式の一部に譲渡制限をつける事ができる事が明らかとなった'''。なお、'''[[非公開会社]]では'''元々強固な信頼関係で株主同士が結び付いているものとされる為、'''議決権制限株式の発行枠は撤廃された。'''これは、[[特例有限会社旧有限会社]]と非公開会社が実質は同じものである事から、有限会社制度の廃止に伴って有限会社に認められていた制度が、非公開会社に引き継がれたものであると解される。
譲渡の承認をするには、株主総会又は、取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議によらなければならない。ただし、定款に別段の定めを設けることが出来る([[b:会社法第139条139条]])。
=== 取得請求権規定 ===全部の株式の内容について付す事の出来る[[取得請求権付株式取得請求権]]とほぼ同じであるが、取得対価として、その会社の別の種類株式を設定できるという部分が異なる。このような取得対価の設定が全部の株式に附す取得請求権規定に設定出来ないのは、取得対価としての「別の種類株式」が観念出来ないからである。ちなみに、取得対価として設定できるものに制限は無いものと解されており、現金、[[新株予約権]]、[[社債]]等様々なものを設定する事が可能である。この規定を株式発行後に設定する場合、[[定款]]変更である事から[[特別決議]]を要する事になる。また、新株予約権等と異なり、取得請求権のみを他人に譲渡することはできない事とされている。なお、平成17年商法改正以前の'''''転換予約権付株式'''''や株主の請求で行える'''''償還株式'''''は、取得請求権付株式の一種と言うになる。

株式13

=== 残余財産の分配規定 ===株式に付される規定の一種で、会社の清算をした後、残った残余財産の分配に関する地位の優劣を定めたもの。これに関しても、優先株式や劣後株式と呼ばれる為、'''何に対して優先又は劣後なのか注意が必要である。'''
=== 議決権制限規定 ===株式に付される規定の一種で株主総会での議決権の、全部又は一部を制限する事を内容とするもの。無議決権株式も可能であるが、その場合でも、その株主は種類株主総会では議決権を行使する事が出来ると解されている。通常は、配当に対して優先株式である事の代償として、議決権制限がつけられる。こうする事で、株式の流通性を高めると同時に、買収防衛策にもなるからである。
ちなみに'''公開会社'''においては議決権制限株式が発行済株式総数の二分の一を超えたとき'''は'''直ちに'''発行済株式総数の'''二分の一以下にする措置を取らなければならない'''とされている([[b:会社法第115条115条]])。しかし[[非公開会社]]においては、旧有限会社と同一視する傾向から、このような規制はなされていない。

株式12

*新株予約権付株式*:会社に新株を発行させる、または会社の自己株式を移転させる権利付きの株式の事。新株予約権付株式は、従来認められていなかったが、新株引受に関する規定が緩和され、平成14年の商法改正以後この名で導入された。詳しくは[[新株予約権]]の項を参照。会社法上、新株予約権は株式の内容とはされておらず、取得請求権や取得条項と違い、新株予約権のみの発行も可能であるし、原則、株式との分離処分も可能である。
== 種類株式の内容の具体例 ==株式にくっつける事の出来る''権利の内容''は、108条1項各号に掲げる事項で法律によって限定的に定められているが、会社法108条1項各号に掲げる事項を自由に組み合わせて、その会社独自の種類株式を発行する事が出来る。しかし、108条1項9号、いわゆる役員選任権規定だけは、[[取締役会設置会社]]及び[[公開会社]]はその株式に付す事が出来ない様になっている。以下の見出しは108条1項各号の条文の順に記載している。
=== 剰余金の配当規定 ===株式に付される規定の一種で剰余金の配当に関する地位の優劣を定めたもの。詳しくは[[優先株式]]の項を参照。この規定により、配当において他の株式より優越的な地位が認められる株式が、いわゆる'''優先株式'''と呼ばれる。ちなみに、標準的な地位に置かれるものが'''普通株式'''、劣後的な地位に置かれるものを'''劣後(後配)株式'''と呼ばれる。

株式11

*普通株式*:剰余金及び残余財産の配当(配分)に関して標準的な地位が与えられた株式。実務上での詳細は[[優先株式]]の項を参照。会社法上の規制等については、下記の[[#剰余金の配当規定剰余金の配当]]及び[[#残余財産の分配規定残余財産の分配]]の規定参照。
*混合株式*:剰余金の配当に関しては優先株式であるが、残余財産の分配で(劣後)後配株式であるような、ある規定に対しては他の株式よりも優越し、別の規定に関しては他の株式よりも劣後するような株式を'''混合株式'''と呼ぶ。旧商法下と同様に,法定の手続を踏む事で発行する事ができる。
*償還株式*:旧商法下で用いられていた分類で、'''会社や株主の請求'''など特定の事由が起こる事を条件に会社が株式と'''現金を交換'''する旨の規定のある株式。会社法では取得条項及び取得請求権規定に吸収。会社法での解釈では、償還株式は「取得請求権付株式または取得条項付株式で定款で取得対価を現金に定めたもの」となる。
*転換予約権付株式(転換株式)*:旧商法下にあった分類で、'''株主の請求'''で、当該株式を会社の発行する'''別種の株式と交換'''できる旨の規定がある株式。会社法で[[#取得請求権規定取得請求権の規定]]に吸収された。会社法での解釈では、転換予約権付株式は「取得請求権付株式で定款で取得事由を株主の取得対価を当該会社の発行する他の種類株式に定めたもの」となる。

株式10

== 実務上の種類株式の呼称例 ==以下は実務で使われる種類株式の呼称例である。しかし会社法の制定に伴い、法律上はそのような呼称がなくなったものもある。
*優先株式*:剰余金及び残余財産の配当(配分)に関する地位が他の株式よりも優越する株式のこと。実務上での詳細は[[優先株式]]の項を参照。会社法上の規制等については、下記の[[#剰余金の配当規定剰余金の配当]]及び[[#残余財産の分配規定残余財産の分配]]の規定参照。
*劣後株式*:後配株式とも呼ばれる。剰余金及び残余財産の配当(配分)に関する地位が他の株式よりも劣る株式のこと。実務上での詳細は[[優先株式]]の項を参照。会社法上の規制等については、下記の[[#剰余金の配当規定剰余金の配当]]及び[[#残余財産の分配規定残余財産の分配]]の

株式9

また、現在上場株式全体の約80%が、「[[証券保管振替機構]](ほふり)」に株券を預託したまま行われており、株券自体をやりとりすることは少ない。さらに、2009年1月を目標に[[株券電子化]]が予定されている。株券電子化が実現されれば、それ以降上場株式は基本的に、コンピューター上の登録データでの管理に移行される。
== 株式の種類 ==株主の権利の違いや記載内容の違いにより以下のような種類がある。
=== 株主の権利の違いによる分類 ===[[普通株式]]は、一つ(一単元)の株式に与えられる株主の権利は平等([[株主平等の原則]])である。これに対し、配当や議決権などの権利について意図的に差をつけた株式を発行する場合があり、これを普通株式と区別して[[優先株式]]あるいは[[種類株式]]と呼ぶ。

株式8

=== 株価 ===株式の売買取引の際に付けられる価格が[[株価]]である。基本的には売り手と買い手双方の合意があれば自由に決定できるが、上場株式においては証券取引所での直近の約定値を株価として時価の評価基準にすることが多い。これら株式の売買の際の株価変動によって得た利益を[[キャピタルゲイン]]と呼び、価格変動によって被った損失のことを[[キャピタルロス]]と呼ぶ。なお、配当などによる利益は[[インカムゲイン]]と呼び、キャピタルゲインとは区別される。
=== 株券 ===株式を表章する証券のことを[[株券]]と呼ぶ。従来は株式の譲渡性を確保するための必須の存在であったが、定款において譲渡制限が定められているような中小企業においては発行されないことも多く、大企業においても発行コストや善意取得の危険など管理コストの問題もあるため、株券不発行制度が導入された。日本の[[会社法]]においては、株券は発行しないことがむしろ原則とすらされている。

株式7

== 仕組み ==株式会社は、事業で得た[[利益]]の一部を出資比率に応じて[[配当]]という形で[[株主]]に分配する。事業が[[赤字]]の場合には無配になる可能性がある。また、[[廃業]]したり、経営が破綻して[[倒産]]した場合には株式の価値がゼロになることもある。しかし、株主の責任は[[有限責任]]であり、会社に多額の[[債務]]が残っても株主は出資額以上の損失を被ることはない。一方で、会社を解散した場合、債務をすべて履行してなお資産が残れば、その資産の所有権は株主にあり、出資比率に応じて分配する。
また、出資することで得た株式は株券を発行する会社においては[[有価証券]]である株券で表章され、特に譲渡制限を設けていない限り譲渡可能である。特に[[証券取引所]]に[[上場]]された株式は、相対取引や公開買付などを除くと、証券会社を介して証券取引所において売買取引されるのが通例である。これに対し公開されていない株式である[[未公開株]]は相対(あいたい)で取引される。

株式6

'''株式'''(かぶしき)とは、[[株式会社]]における社員権、[[持分]]のことである。通常の持分が[[社員]]の出資額などに応じて不均一な形態をとるのに対して、均一的な細分化された割合的な構成単位をとる点に特徴がある。そのため、株式会社が事業に必要な巨額の資金を調達する際に、資本を細分化し、小額の出資を多数の出資者から募ることが可能になる。また、株式会社におけるそれぞれの株主の出資の割合を知るためには単に所有する株式の数を調査すれば足りることになる。
なお、株式を表章する有価証券である[[株券]]の意味で使われることもある。
株式の発行は、社員の募集と資金調達という二つの性質を持つため、かつては前者の性質が重視されて[[株主総会]]の決議が必要とされていたが、現在では後者の性質が重視されるようになり、経営の機動性を確保するため、株主総会の[[授権資本制度授権]]の下で原則として[[取締役会]]の決議で発行することができるほか、株式の[[株式分割分割]]、消却なども[[会社法]]の規定の範囲内で自由にできるようになった。

株式5

==日本の店頭市場==なお日本の店頭市場は現在消滅している。これには以下のような経緯がある。
そもそも店頭市場とは取引所で扱わない証券の市場という意味である。日本では日本証券業協会が1963年以来運営してきた店頭登録銘柄制度がこれにあたる。店頭市場は証券会社間の相対取引が基本だが、店頭登録銘柄制度においては、1976年に発足した日本店頭証券(2001年にジャスダックに商号変更するとともに市場運営を日証協から受託)で、実質的に市場取引が行われていた。しかし店頭市場は、法律的には市場取引が行われている場所として長く認知されなかっただけでなく、機能としては取引所の基準を満たさない企業のための補完的市場の位置を与えられ、企業が成長するとともに取引所に企業が移る関係にあった。1998年の証券取引法改正では、店頭市場は店頭売買有価証券市場とされ、市場として取引所と対等の地位を与えられた。
しかし1999年以降、取引所側が相次いで新興企業向け市場を立ち上げると、その補完的機能においても取引所とまともに競合するようになった。そこで日証協では店頭市場の活性化のために、ジャスダック市場(店頭市場を2001年に改称)の取引所への転換を2003年に決定した。かくしてジャスダック市場は、2004年12月に[[ジャスダック証券取引所]]に改組され、それまで店頭銘柄とされていたものも、東京証券取引所など取引所の上場銘柄と同じく上場銘柄と呼ばれることになり、この結果、日本では店頭市場・店頭銘柄は消滅して現在に至っている。

株式4

取引所による市場の独占や様々な規制は、先進資本主義国で独占禁止法制の例外として容認されていたが、すでに述べたように機関投資家(具体的には年金、保険、さまざまなファンドなど)は、このような取引所の独占が果たして効率的な市場を実現しているかについて疑問を提出するようになった。このような不満を受ける形で、アメリカでは1970年代にまたイギリスでは1980年代に、取引所の独占を否定する市場改革が実現した。このうち1986年にイギリスで行われた改革は「ビッグバン」(参照[[ビッグバン (金融市場)]])と呼ばれるもの。日本で1997年から1998年にかけて行われた市場改革は、このイギリスの改革をもじって「日本版ビッグバン」(参照[[金融ビッグバン]])と呼ばれる。このような市場改革がPTSの登場をもたらし、市場改革のスピードをさらに上げることを既存の取引所に迫っているのである。

株式3

このような取引所の規制的なあり方は、自然発生的に市場の分裂fragmentationを生み出してきた。上場制度による制約は、上場されてない証券を店頭市場over-the-counter marketsが扱うことを生み出した。また会員制度は、非会員が場外市場curve marketsを作ることを妨げるものではなかった。他方で、市場の分裂は、売買注文を出す側からすれば、不便なことなので市場を統合するという合理化への圧力を生み出すものである。
このように市場は本質的に統合と分裂を繰り返す存在なのである。近年、この市場問題に新たな意味付けを与えているのは[[機関投資家]] institutional investorsの成長である。投資金額が巨大化している機関投資家は、市場に対して自らの要求を突きつけるようになっており、市場はこの機関投資家の要求への対応を迫られているのである。加えて機関投資家の要求に沿うように取引のスピード、匿名性、コストでの効率化などを実現した私設取引システムPTS:proprietary trading systems(なお伝統的取引所に対抗するシステムとしての側面が強調されるときはPTSと呼ばれるが、同じシステムについて高度な情報技術システムの側面を強調するときは電子取引システムECN:electronic communication networks と呼ばれることがある)の登場と成長は、既存の取引所に脅威となり、取引所の側の変革を促すように作用したのである。

株式2

==証券取引所の規制==様々な商品取引でも同じであるが、商品取引を容易にするためには同じ場所、同じ時間に取引を品物を持ち寄ることで、売買の成立は容易になる。品物が互いにわかっている定型化された取引の場合には、注文という情報を持ち寄るだけでも同じことが可能である。つまり市場の本質は売買についての注文情報が集まり、新たな価格情報などが生み出される場所ということになる。こうして一度「[[市場]]」が成立すると、市場に参加するものの利害を守るために、市場に入ることに入場料を取ったり、市場に入れるものを限定して会員制度あるいは組合員制度を取ることも見られる。
証券取引所で多く見られた規制は、会員制度(会員だけが取引所で取引資格がある)、上場制度(取引可能なものを上場されたものに限定する)、市場集中原則(会員に対して上場証券について取引所での売買を義務付ける)、固定取引手数料制度(会員に対して取引所で定めた固定取引手数料を徴収することを義務付ける)などである。これらの規制には、市場の機能を高める側面と、会員の利害を守る側面との両面があると考えられる。

株式1

'''証券市場'''(しょうけんしじょう)とは、[[金融市場]]の中で、[[有価証券]]([[株式]]、[[債券公社債]]など)の発行が行われる発行市場と、それが[[流通]]する流通市場との総称。[[証券取引所]]をさすこともある。
==発行市場と流通市場==英語では発行市場を一次市場primary market、流通市場を二次市場secondary marketという。これは新しく証券が登場する最初の場所が発行市場で、一度発行市場を通過した証券が転々と売買される場所が流通市場である、という意味である。
[[証券]]の社会的な機能としては、資金の調達機能や小口の資金を集めて大口の資金をつくりだす資産変換機能(資産の性格を変換する機能)が知られている。それが果たされているのは発行市場においてである。他方で発行市場が機能する上では、つまり証券の発行が成立する上では、流通市場が存在して証券の流動性(売買可能性)が確保されていることには大きな意味がある。流通市場が存在する証券の方が投資家にとっては流動性の確保が容易であり安心できるからである。