2008年3月29日土曜日

株式3

このような取引所の規制的なあり方は、自然発生的に市場の分裂fragmentationを生み出してきた。上場制度による制約は、上場されてない証券を店頭市場over-the-counter marketsが扱うことを生み出した。また会員制度は、非会員が場外市場curve marketsを作ることを妨げるものではなかった。他方で、市場の分裂は、売買注文を出す側からすれば、不便なことなので市場を統合するという合理化への圧力を生み出すものである。
このように市場は本質的に統合と分裂を繰り返す存在なのである。近年、この市場問題に新たな意味付けを与えているのは[[機関投資家]] institutional investorsの成長である。投資金額が巨大化している機関投資家は、市場に対して自らの要求を突きつけるようになっており、市場はこの機関投資家の要求への対応を迫られているのである。加えて機関投資家の要求に沿うように取引のスピード、匿名性、コストでの効率化などを実現した私設取引システムPTS:proprietary trading systems(なお伝統的取引所に対抗するシステムとしての側面が強調されるときはPTSと呼ばれるが、同じシステムについて高度な情報技術システムの側面を強調するときは電子取引システムECN:electronic communication networks と呼ばれることがある)の登場と成長は、既存の取引所に脅威となり、取引所の側の変革を促すように作用したのである。