2008年3月21日金曜日

先物26

==影響==現物株式での日計り取引(デイトレード)は、先物の動きを見ながら注文を出していることが多い。従って、先物価格の変動が実際の株価指数(日経平均株価)に与える影響は少なくない。特に、先物は比較的少ない金額で大量の注文を出して約定させることができるため、大口の機関投資家であれば先物価格を瞬時に数十円程度動かすことは容易である。このことを利用した意図的な先物価格の操作(価格の釣り上げや売り崩し)は珍しくなく、それに従う形で日経平均株価がほぼ同じ動きを見せることがある。
== 日経225mini ==個人投資家でも気軽に参加できるよう、大阪証券取引所が2006年7月18日からスタートさせた新しい株価指数先物取引。上場は大阪証券取引所のみ。日経225先物取引の取引単位を10分の1にし、呼び値を5円にしたもの。ただし、限月は日経225先物取引の5つの限月のうち、近い方の2つしか採用されない。
この日経225miniと区別するため、miniではない本来の日経225先物の方を「ラージ」ということがある。

先物23

==取引の実際=====取引例===仮に、先物が18,000円、後述する必要最低証拠金が1枚あたり60万円の場合、口座に100万円を入金して先物を1枚買い建てたとする。この時の証拠金の余力は40万円である。:1) その日の取引終了後、先物価格が18,500円となっていれば、(18,500-18,000)×1,000=50万円 の含み益が生じ、証拠金の余力は90万円となる。この場合は、翌日にさらに1枚追加で買い建てることも可能である。:2) その日の取引終了後、先物価格が17,500円となっていれば、(17,500-18,000)×1,000=-50万円 となって、50万円の含み損が発生する。この時、証拠金の余力は 40万円-50万円=-10万円 でマイナスとなってしまうため、建玉を保持したまま取引を継続するには、追加の証拠金(追証)を10万円納める必要がある。
このように建玉については、毎日、取引終了後に先物終値と建値との差額を計算し、含み益・含み損の額を更新する。これを「'''値洗い'''」という。
1) の場合、18,500円になった所で反対売買(この場合は返済売り)を行って決済すると50万円の利益が確定し、口座残高は150万円となる(ただし別途売買手数料がかかる)。決済後は建玉がない状態なので、拘束される証拠金は0円である。このように、証拠金とは玉を保持している間に一時的に拘束されるものである。
なお、上記の例では買いの場合を扱ったが、売りの場合は逆に株価指数が上がれば含み損となり、株価指数が下がれば含み益となる。

先物22

===SQ===満期日には、満期となった日経225先物(および日経225オプション)は、「[[特別清算指数]]」(Special Quotation、略して'''SQ''')という値によって決済されるので、この満期日のことを「SQ日」と呼ぶことが多い(満期日自体を指して「SQ」と呼ぶことも多い)。或る限月の先物が市場で取引されるのは、その限月のSQ日の前日までで、それまでに反対売買して清算されなかった玉は、SQ日に自動的に決済される。
SQ値は、日経平均株価構成銘柄のSQ日の寄付値(よりつきね)を元に算出される。取引開始後にすぐに寄らない銘柄は、寄った時点での株価を元に計算する。従って、そのような場合はSQ値は日経平均株価の始値とは異なってくる。
なお、オプションでは限月は1ヶ月刻みになっているので、毎月の第2金曜日がSQである。そのため、先物とオプションが同時にSQとなる3・6・9・12月のSQを、特に'''メジャーSQ'''と呼ぶことがある。

先物21

=== 値幅制限 ===相場の急変動から投資家を守るという名目で、先物価格自体に値幅制限が設けられている。日経平均株価の水準により、制限値幅は異なる。ちなみに、日経平均株価16,000円のときで上下3,000円である。
=== 限月取引 ===先物には期限がある。3月,6月,9月,12月の第二金曜日が満期日に設定されており、これらを'''限月(げんげつ)'''取引という。各限月は、例えば3月が満期日の場合'''「3月限」(さんがつぎり)'''などと呼ぶ。
市場では常に5つの限月が並行して取引されている。例えば2007年4月に取引されているのは、6月限・9月限・12月限・2008年3月限・2008年6月限の5つである。この例では、2007年6月の第2金曜日になると6月限の先物は満期日を迎えて取引されなくなり、新たに2008年9月限が上場される。このように、各限月は上場した日から1年3ヶ月存在し、3ヶ月ごとに満期日を迎えたものが取引されなくなって新たな限月のものが上場される。ある時点で市場に存在するのは常に5種類の限月である。
直近の限月が最も取引量が多く、これを'''期近物'''(きぢかもの)と呼ぶ。限月により価格は少しずつ異なるのが普通である。
期近物の満期日が到来する前に一旦精算(手仕舞い)し、同時に次の限月で同じポジションを組むことを'''ロールオーバー'''(繰り越し)という。ロールオーバーを行えば、事実上、満期日の制限なく長期に玉を保持し続けることができる。

先物20

=== 取引単位 ===日経225オプション取引と同じく指数の1,000倍単位。この最小取引単位を「1枚」という。
株価指数が18,000円の場合、1枚は指数の1,000倍の1,800万円分に相当する。但し、取引に際して1枚あたりこれだけの現金を用意する必要はなく、後述する証拠金(通常は数十万円)があればよい。
指数の10円の値動きは、現実にはその1,000倍の1万円の値動きとなり、建玉があれば実際にそれだけの含み益・含み損が発生する。
=== 呼値 ===呼値(よびね)は10円単位である。(海外市場では5円単位)
===建玉===成立した注文で、未決済のままで保持しているものを「建玉」(たてぎょく)、あるいは「玉」(ぎょく)という。
買い建玉(買い玉)をロング(L)、売り建玉(売り玉)をショート(S)と呼ぶことが多い。また、買い建玉を保持することをロング・ポジションを取る、売り建て玉を保持することをショート・ポジションを取る、などという。

先物19

=== 夕場取引(大証) ===2007年9月18日(火)より、株価指数先物およびオプションに、夕場取引(イブニング・セッション)が導入された。* 取引時間は 16:30~19:00 (注文受付は16:15から)。* '''夕場取引の取引日は、当日扱いではなく、翌営業日扱いとなる'''。例えば、9/18夕場の取引であれば、9/19扱いとなる。これは、そもそも先物・オプション市場が現物株式に対応したものであり、現物株式は後場で一日の取引を終了するため、取引日の区切りは後場終了時点に置かざるを得ないことによる。* 後場終了の時点で従来通り清算処理が行われ、営業日が変わって夕場取引に入ることになるので、'''取引日ベースでの一日の流れ'''は、::前営業日の夕場 → 当日の前場 → 当日の後場 → 清算:となる。* 値洗いは、夕場取引後に当日の日中取引の清算値で再度行われる。ただし夕場取引後の値洗いによって発生した証拠金不足は翌日分となるため、翌営業日の値動きによって証拠金不足が解消する場合もある。* 各限月の最終の取引は、SQ日の前営業日の日中取引となる。ただし、新たな限月の取引開始は、(SQ日前日の夕場からではなく)新規設定となるSQ日の日中取引からとなる。

先物18

===== 日中取引 =====* 前場(ぜんば) … 9:00~11:00* 後場(ごば) … 12:30~15:10:先物を株式のヘッジとして利用するための便宜から、株式市場終了後10分間だけ先物の取引が継続するようになっている。このため、半休日(大発会・大納会は株式市場は前場のみとなる)は、先物市場は11:10で取引終了となる。===== 夕場 =====* 夕場(ゆうば) … 16:30~19:00 ※夕場取引については次項を参照:半休日(大発会・大納会)には、夕場取引は行われない。
===== 取引日 =====* 前営業日の16:30(夕場開始)から営業日当日の16:00(日中取引が終了し、清算処理が終了するまで)が一取引日。営業日当日の夕場は、取引日では翌日扱いとなることに注意

先物17

== 制度 ===== 上場証券取引所 ===* [[大阪証券取引所]](大証):取引量は期近物が一日10万枚程度(2007年現在)で、流動性は非常に高い。* [[シカゴ・マーカンタイル取引所シカゴ商業取引所]](CME):現地時間の8:00~15:15(日本時間 23:00~6:15、ただし米国のサマータイム実施期間は1時間前倒し)に取引される(昼休みなし)。大証の寄り付きはこのCMEの清算値(日本での終値に相当するもの)に近い値になることが多い。市場規模は大証の数分の一程度である。なお、CMEには24時間稼働する取引システム([[GLOBEX]])もあり、時間外取引(現地時間 3:00~8:00)も行われている。* [[シンガポール取引所]](SGX, Singapore Exchange):1989年9月より日経225先物を扱っている。現地時間の7:45~14:30(日本時間 8:45~15:30)に取引され、大証より15分早く始まる。夕場取引は大証よりも早く導入されており、現地時間15:30~19:00(日本時間16:30~20:00)で取引されている。

先物16

'''日経225先物取引'''(にっけい225さきものとりひき)とは、[[日経平均株価]]を原資産とする[[株価指数先物取引]]であり、[[大阪証券取引所]]等に上場されている。[[日経225オプション取引]]と並んで、日本を代表する[[デリバティブ]]取引である。
== 概要 ==あらかじめ定められた期日(満期日)に特定の資産(原資産。ここでは日経平均株価)を、あらかじめ決められた価格で売買する契約。原資産が日経平均株価(株価指数)という実体のないものであるため、決済はすべて差金決済となる。
先物の「買い方」(=取引を買いで開始した人)は、満期日の原資産(厳密には「SQ値」、後述)が約定(やくじょう)価格を上回れば利益を得、下回れば損失となる。「売り方」(=取引を売りで開始した人)は、逆に、満期日の原資産が約定価格を下回れば利益を得、上回れば損失となる。また、満期日まで待たなくとも相場の変動に応じて反対売買(買い方の場合は転売、売り方の場合は買戻し)すれば、いつでも損益を確定することができる。
期近物(後述)の先物価格は現実の日経平均株価に近い値を取るのが普通だが、多少の乖離は存在する

先物15

==投機==[[投機]]を行う者にとっては、前述のリスクヘッジ目的の取引の場合と異なりその商品自体が重要なわけではない。取引参加者は、商品価格を左右するような情報を手に入れるなどして将来の価格を予測し、先物取引によって利益を得ようとする。取引手法はリスクヘッジ取引と同じで、先物の購入または売却を行い、期限前に反対売買をすることで差金決済する。
投機が存在することにより、先物市場の取引規模は増大し[[流動性 (経済学)流動性]]が高まる。また、結果的には、大小様々な情報を価格へ織り込む役目を行なっていることになる。これにより、先物市場の有用性が高まるが、一方で[[レバレッジ]]を活用した巨額の取引により、意図的に価格を吊り上げたり、逆に売り崩したりする場合があり、市場の混乱の一因ともなる。

先物14

:'''一年後、市場のトウモロコシ価格が1.5ドルになっていた場合''':: 農場経営者は、先物市場で売ったトウモロコシを買い戻す。このことで150万ドルの支出がある。昨年250万ドル受け取った分の差額100万ドルが証拠金とともに返ってくる。差し引き100万ドルの利益である。一方、実際に生産したトウモロコシを現物市場で売却する。単価1.5ドルで100万ブッシェル売るため150万ドルの収入である。先ほど、先物市場で得た100万ドルと合算して、250万ドルの収入となる。これで事実上、単価が2.5ドルになる。農場経営者が先物取引をしていなければ、赤字であった。
: このようにリスクヘッジ目的に先物取引をすることは、より高い利益を求めるためではなく、経営構造を安定化させるために行なう。一年後、価格がどうなるか分からない状況では計画が立たないが、先物取引を行なうことで見通しを立てることができるようになる。
: なお、実際の先物取引ではほとんどの場合、期限前に反対売買をすることで差額を決済(差金決済)するため、現物が取引されることは稀である(現物決済する場合、期限まで決済を待たなければならないため)。

先物13

===リスクヘッジ (条件 その2)===*例えば、大規模な農場があったとする。:: 1. 農場ではトウモロコシを生産している。:: 2. トウモロコシは市場価格で売却している。:: 3. トウモロコシが1ブッシェルあたり2ドル以下になると赤字になる。:: 4. 年間に100万ブッシェル生産する。
: 農場経営者は、来年のトウモロコシの価格が気になる。もし、来年の価格が2ドルを下回れば、赤字になってしまう。現状のトウモロコシ先物市場ではトウモロコシが2.5ドルである。そこで、酪農家は先物市場でトウモロコシを100万ブッシェル売る。250万の受け取りであるが、証拠金取引であるため一部を証拠金として納め総額を受け取るわけではない。売却するのは「来年決済時点のトウモロコシ100万ブッシェル」である。
:'''一年後、市場のトウモロコシ価格が4ドルになっていた場合''':: 農場経営者は、先物市場で売ったトウモロコシを買い戻す。このことで400万ドルの支出がある。昨年250万ドル受け取った分の差額150万ドルが証拠金から減額されて返ってくる。差し引き150万ドルの損失である。一方、実際に生産したトウモロコシを現物市場で売却する。単価4ドルで100万ブッシェル売るため400万ドルの受取である。先ほど、先物市場で失った150万ドルの損失と相殺して、差し引き250万ドルの収入となる。これで事実上、単価が2.5ドルになったことになる。農場経営者が先物取引をしていなければもっと収益は多かった。

先物12

:'''一年後、市場のトウモロコシ価格が4ドルになっていた場合''':: 酪農家は、先物市場で買ったトウモロコシを売却する。このことで400万ドルの収入がある。昨年250万ドル支払った分の差額150万ドルと証拠金が返ってくる。差し引き150万ドル利益を得た計算である。一方、実際に飼料とするため現物市場でトウモロコシを購入する。単価4ドルで100万ブッシェル買うため400万ドルの支払である。先ほど、先物市場で得た150万ドルの利益と相殺して、差し引き250万ドルの支払となる。これで事実上、単価を2.5ドルに抑制できたことになる。酪農家が先物取引をしていなければ赤字となっていた。
:'''一年後、市場のトウモロコシ価格が1.5ドルになっていた場合''':: 酪農家は、先物市場で買ったトウモロコシを売却する。このことで150万ドルの収入がある。昨年250ドル万支払った分の差額100万ドルが証拠金から減額されて決済される。差し引き100万ドルの損失である。一方、実際に飼料とするため現物市場でトウモロコシを購入する。単価1.5ドルで100万ブッシェル買うため150万ドルの支払である。先ほど、先物市場で失った100万ドルと合算して、250万ドルの支払となる。これで事実上、単価が2.5ドルになる。酪農家が先物取引をしていなければ、より利益があった。

先物25

含み損が拡大するなどして、値洗い後の必要最低証拠金が口座に入金されている金額を上回ってしまうと、「'''追証'''」(おいしょう)という追加の証拠金が必要になる。定められた期限(通常、翌営業日の前場終了)までに追証の入金がない場合は、全建玉が(通常、翌営業日の後場寄り付きで)強制決済される。
なお、オプションと組み合わせてポジションを組んでいる場合は、先物とオプションを合わせたポートフォリオ全体の持つリスクに応じて必要最低証拠金が計算されることが多い。その場合の計算は非常に複雑になるため、本稿では割愛する。
===ヘッジ===日経225先物取引のリスクヘッジ(リスク回避)の手段として、[[日経225オプション取引]]を利用することができる。'''先物とは逆のポジションとなるように適切な権利行使価格・限月のオプションを先物と同数買い建てる'''(ロングの場合はプット買い、ショートの場合はコール買い)ことで、株価指数の暴落(ロングの場合)・暴騰(ショートの場合)による大きな差損発生のリスクを回避することが可能である。ただしこの場合は先物取引が成功した場合でも、得られる利益はオプション価額の変動(この場合は減少)分だけ少なくなる。
ヘッジ目的の場合はオプションを買い建てることが必要で、オプションを「売り建て」た場合はオプション取引によって得られる利益が一定額に限定されてしまうため、株価指数の暴落・暴騰に対するヘッジとはならない。
なお、[[オプション取引]]は必ずしもヘッジ目的だけに限られるものではない。

先物24

===証拠金===大阪証券取引所では、2000年10月30日より上記CMEの開発した SPAN (The Standard Portfolio Analysis of Risk)という証拠金計算方法が採用されている。証券会社では、このSPANのうちの「プライス・スキャンレンジ」という指標を用いて、以下の計算式で必要最低証拠金を計算することが多い。:必要最低証拠金 = プライス・スキャンレンジ×1.2×(買い玉数-売り玉数)の絶対値-含み損益プライス・スキャンレンジは、指数の終値の対前日の増減値(絶対値)のうち、(1)過去4週間のうち最も変動した値、(2)過去24週間のうち上位2番目に変動した値、のうちの大きい方を30の倍数に切り上げ、それを1,000倍したものである。プライス・スキャンレンジは大阪証券取引所から毎週発表される。
たとえば2007年の初めでは、(1)が234.16、(2)が408であったので、プライス・スキャンレンジは408を420に切り上げて千倍した42万円となる。この時、買玉1枚、売玉3枚を建てており、含み損が20万円とすると、一般的な証券会社の必要最低証拠金は、:42万×1.2×|1-3|-(-20万)=120万8千円である。逆に含み益が20万円の場合は、80万8千円である。

先物11

===リスクヘッジ (条件 その1)===*例えば、大規模な牧場があったとする。::1. 牧場では[[牛]]の[[飼料]]に[[トウモロコシ]]を使っている。::2. トウモロコシは[[市場価格]]で購入している。::3. トウモロコシが1[[ブッシェル]]あたり3[[ドル]]以上になると赤字になる。::4. 年間に100万ブッシェル使用する。
: 酪農家は、来年のトウモロコシの価格が気になる。もし、来年の価格が3ドルを超えれば、赤字になってしまう。現状のトウモロコシ先物市場ではトウモロコシが2.5ドルである。そこで、酪農家は先物市場でトウモロコシを100万ブッシェル買う。250万ドルの支払であるが、証拠金取引であるため一部を証拠金として納めるだけでよい。受け取るのは「来年決済時点のトウモロコシ100万ブッシェル」である。

先物10

=== 実物取引と清算取引 ===株式市場には、かつて長期清算取引があったが、この取引は個別株式の3ヶ月以内の3連続限月制の先物取引であった。現行の先物取引は、第二次世界大戦後のアメリカの制度を見習い、「実物取引」と「清算取引」の区分を踏襲しながら、清算取引については Futures を訳して「先物取引」と呼んでいる。
「実物取引」と「長期清算取引」の中間位置に存在したものとして、期日到来後も30日以内に限って受渡し又は差金決済を繰り延べることが可能な「短期清算取引」がある。日歩(又は逆日歩)とスワップ金利、取引所取引と相対取引、などの違いはあるが、類似の繰り延べ取引(ロールオーバー制度)として「[[外国為替証拠金取引]]」が存在する。
===証拠金取引===先物取引の一般的な特徴として「証拠金取引」が存在する。これは、購入もしくは売却する代金全額の現金は不要で、少ない[[証拠金]]を担保にして取引が出来るというものである。このため、[[株式]]の[[信用取引]]などと同じように、用意する現金に比べて大きな利益、大きな損失が生じやすく、投資額からみるとハイリスク・ハイリターンな取引であるといえる。先物取引に関して、想像以上の損失をこうむってしまう投機家が多いのは、このためである。投資額以上の損失を抱えることもある。

先物9

'''先物取引'''('''さきものとりひき''')とはいわゆる[[デリバティブ]](金融派生商品)の一つで、価格や数値が変動する各種[[商品]]・[[指数]]について、未来の売買についてある[[価格]]での[[取引]]を約定(やくじょう)するものを言う。対義語は[[現物取引]]。[[1531年]]に[[ベルギー]]で世界初の先物取引市場が開設される。[[1730年]]には世界初の公設先物市場、[[堂島米会所]]が誕生する。
==概要==本来は、価格変動の影響を避けるための手段([[リスクヘッジ]])として利用されるが、価格変動を利用して利益を得るスペキュレーション(投機)取引というものがあり、以下のような場合に、その差額を利益として得ることが出来る。* 今後の価格の上昇を予想して商品を購入し、実際に商品価格相場が上昇して売却した場合。* 今後の価格の下落を予想して商品を売却し、実際に商品価格相場が下落して買い戻しを行った場合。
現物を持ち寄らずに、紙上や電子的に取引を行うため、市場(いちば)よりも大規模な取引を行なうことが可能で、商品を取引する上での世界的な価格指標となる。

先物8

==商品取引所==日本では東京工業品取引所、東京穀物商品取引所など4つの商品取引所で商品先物取引が行われている。うち、[[原油]]や[[ガソリン]]、[[貴金属]]などを上場する東京工業品取引所が、商品先物取引の出来高で世界第2位となっている。欧米と同様の清算制度や電子取引端末の導入を契機に、時差の面で[[アメリカ合衆国米国]]市場・[[ヨーロッパ欧州]]市場を補完する[[アジア]]の中核市場として注目されている。
取引形態は、株式市場と同様の'''ザラバ'''方式と、1日数回の取引節ごとに注文を突き合わせる'''板寄せ'''方式に分かれている。殆どの市場で注文処理は[[コンピュータシステム]]によるシステム取引が行われているが、中部大阪商品取引所大阪取引センターにおいては、2007年8月31日まで伝統的なハンドサインによる'''手振り板寄せ売買'''が行われていた。(これが日本における手振りによる最後の取引である。)
板寄せにおいては、市場で売買が成立した後一定時間内の間、取引員が当該値段で売り買い同枚数の取引が成立したとして、後から取引所に報告することが認められている。これをバイカイ付け出しといい(またバイカイを振るともいう)、投資家の中には特殊サービスとして歓迎する向きもあるが、不正の温床であるとして問題視する意見もある。また、取引所と取引員は、日々値洗いに応じて、場勘とよばれる金銭のやりとりをしなければならず、これが即時行われないと違約となって取引停止となるので、取引員は場勘のやり取りを嫌う傾向が強い。このため、取引員は取引所に対し中立のポジションをとる傾向があり、当然一般の顧客とは反対のポジションをとる傾向となる。これを向かい玉といい(市場を全く通さない場合は呑み玉という不正行為である)、顧客に対する出金遅延の原因となりやすい。

先物7

なお、毎日の売買量を出来高(できだか・売りと買いが成立したものを1枚と数える)といい、ある時点での未決済の建玉の量を取組高(とりくみだか・売りと買いが取り組んだ状態を1枚と数える)という。これとは別に売買高という言葉を使用する場合があって、売りと買いでそれぞれ1枚と数え出来高を2倍に数えるのがそれだという。ただし[[日本経済新聞]]の商品市場の欄の説明では出来高のことを売買高といい、取組高のことをたんに建玉と称しているから注意を要する。
==商品取引員==商品取引受託業務を営む[[株式会社]]が'''商品取引員'''である。これは[[有価証券]]の取引に於ける[[証券会社]]に当たる。ごく一部の良心的な取引員を除き、勧誘を巡る苦情が多く、[[2004年]][[4月]]に成立した改正商品取引所法では、資産保全制度の拡充、商品取引員が投資家を勧誘する場合のルール強化、商品取引員の財務基準の見直しなどが盛り込まれた。また、[[外国為替証拠金取引]]に参入するものも多い。商品取引員の利潤の大部分は、顧客からの委託手数料で賄われているが、2004年に委託手数料が自由化された。[[2005年]]4月に[[個人情報保護法]]が施行され、同年5月に商品取引所法が改正されてからは、勧誘規制強化の影響で収益が大幅に落ち込んだ商品取引員が多く、また主務省([[経済産業省]]・[[農林水産省]])による抜き打ち査察が徹底的に強化され、その結果廃業や業務停止に追い込まれる商品取引員が同年から相次いでいる。また、商品先物取引の営業においては[[登録外務員]]の制度が採られている。

先物6

このようにして、商品が上がると思えば買い建玉をし、下がると思えば売り建玉をするのが、商品先物取引(商品相場)における典型的な投機的取引であるが(いわゆる片建取引)、このほかに、同一商品異市場の値段差が縮小するのを狙う取引(アービトラージ)や、類似商品の値段の差・比率に着目する取引(ストラドル)、限月間の値段差に着目する取引、順鞘(限月が近づくにつれ値段が下がっている状態)のときの鞘すべり取り(ローリング)、逆鞘(限月が近づくにつれ値段が上がっている状態)のときの鞘出世取り、順鞘のとき期近(決済の早い限月)を買い期先(決済の遅い限月)を売って、期近を現受け(現物を引き取ること)して期先に売りつなぐことで、差額を獲得する取引などがあり、これらを総称して鞘取りという(もともとは投機的取引で値段差を狙う全ての取引を鞘取りといった)。日本では困難であるが、これらにさらに[[オプション取引]]を絡ませて、いっそう複雑なポジションを構成することもできる。

先物5

==取引の仕組み==取引においては、一定の決まった月までに、現物引渡しまたは反対売買(転売・買戻し)で決済することが約束されている商品を売買する。この決められた月を、「限月(げんげつ)」といい、取引の単位を「枚」という。たとえば金においては1kgが取引単位となっている(2007年2月現在)。現物を受け渡す最小単位も取引単位と同様に設定しているものが多いが、なかには2枚や5枚を単位とするものもある。売買をするにあたっては[[取引所]]によって定められた一定額の証拠金を納めなければならない。この額は契約商品全体の額(「丸代金」という)の5~10%くらいである。すなわち10~20倍のレバレッジがかかっているのがこの取引の特徴である。買いまたは売りをしたまま、未決済(現物引渡しや反対売買が行われていない状態)になっている契約を「建玉(たてぎょく)」という。建玉に発生する損益を「値洗い」といい、ポジション(口座にある建玉全体の状態)にたいして一定以上の値洗い損がでれば、追加の証拠金を納めなければならない。これを取引追証拠金(とりひきおいしょうこきん・おいしょう)という。証拠金が納付できない場合は、そこで強制決済となる。証拠金は、納会日(最終決済日)が近づいてきたときや相場が荒れたときにも、追加を要求される。前者を定時増証拠金(ていじまししょうこきん・ていじまし)、後者を臨時増証拠金(りんじまししょうこきん・りんまし)という。

先物4

日本の商品先物市場は、他の国とは違って個人投資家による[[投機]]取引が大部分を占め、それにより投資家とのトラブルや市場機能の未熟さが指摘されてきたが、[[貴金属]]市場や石油市場の拡大とともに近年は[[商社]]をはじめとする機関投資家の取引が急増している。この結果、石油製品などの実需取引においては、商品先物市場の価格が指標として活用されるなど、日本の産業インフラとしての機能を発揮しつつある。また、[[白金]]や[[ゴム]]などの商品では[[東京工業品取引所]]が世界最大規模の出来高を誇り、世界的な指標価格を形成している。

先物3

堂島米会所は、米を取引対象としていたので、当然、商品市場であるが、当時の日本で、米は[[貨幣]]的な役割を果たしていたこと、[[金本位制]]と[[銀本位制]]が混在していたことから、米を仲立ちとして[[金]]と[[銀]]の交換レートが実質的に決定されるという役割も持っていた。このことから、商品としての米よりも貨幣としての米の側面が高く、実質的には商品市場というよりも[[為替]]市場として機能していたと分析する研究者もいる。
しかし、米の先物取引は[[第二次世界大戦]]に伴う米流通の統制に伴い[[1939年]]廃止された。終戦後の商品取引所公布を受け、[[1950年]]大阪化学繊維取引所(現在の[[中部大阪商品取引所]])を皮切りに商品先物取引が再開されたものの、米の先物取引は[[2006年]]時点でいまだ実現していない。
==現状==日本の商品先物市場は、[[農林水産省]]及び[[経済産業省]]の管轄となっている。これは、先物取引の内の商品の受け渡しに注目した管轄の方法であり、商品先物取引委員会([[w:Commodity Futures Trading Commission]], CFTC)という専門組織がある[[アメリカ合衆国]]をはじめとする諸外国と異なる点であり、また管轄省庁が2箇所あることに起因する運営上の諸問題も発生している。

先物2

価格調整機能とは、商品先物取引では、公開の市場で多数の参加者が競り合うことで価格が決定されるので、理論上、その時点での最も公正な価格が決められることを指す。また、先物価格を指標として生産者が生産調整を行うことがあるため、将来価格が高い場合は、生産量が増えて結果的に価格が下がり、将来価格が低い場合は、逆の現象が生じる。このため、商品価格の乱高下が減り、価格の安定化をもたらすと考えられている。ただし、仕手やファンド等の介入で価格が、ある程度乱高下する場合もある。[[銀]]相場におけるハント兄弟の買い占めが世界的な事象として知られてるが、結局、彼らは暴落で大損失を被ることになる。
商品先物取引を[[デリバティブ金融商品]]として見た場合、少額の現金のみで取引できる「[[証拠金取引]]」であるため、[[レバレッジ]]効果によって利益・損失とともに莫大になりやすい。
==歴史==[[1730年]]に[[江戸幕府]]が、[[大阪]]堂島米相場会所に対し[[米]]の先物取引を許可したのが、日本での商品先物取引の始まりである。これ以前にも、[[1568年]]に開設された[[ロンドン]]([[イギリス]])の取引所や[[1531年]]に開設された[[アントウェルペンアントワープ]]([[ベルギー]])の取引所があったが、近代的な商品先物取引の嚆矢は上記の堂島米会所といわれている。

先物1

'''商品先物取引'''('''しょうひんさきものとりひき''')は、[[農産物]]や[[鉱物鉱工業材料]]等の[[商品]]を将来の一定日時に一定の価格で売買することを現時点で約束する取引であり、[[先物取引]]の一種である。
本来は、将来の価格変動リスクを管理するための手段([[リスクヘッジ]])として利用するものであるが、多くは[[投機]]手段としての利用となっている。対義語は[[現物取引]]。
==概要==主な役割として、価格変動のヘッジ機能と商品価格の調整機能がある。
ヘッジとは、商品の現物取引を行っている者が、将来の価格変動によって損失を被らないように保険を掛ける機能である。具体的には、[[アルミニウム]]を10,000トン輸入した商社があり、[[船]]で輸送して[[日本]]に到着するまでに1箇月かかるとする。仮に1箇月の間にアルミニウムの価格が1kgあたり10[[円 (通貨)円]]下がったとすると、商社は1億円の損失を出すことになる。このような場合、商品先物取引を利用して10,000トン分のアルミニウムを売っておけば値下がりによって[[利益]]が出るので、現物の損失と相殺することが出来る。

fx13

*[[1990年]]~[[1995年]]4月 超円高: [[湾岸危機]]など短期の上下はあるものの、長期的には円高で推移した。1990年初から東京市場の株価が暴落し、バブル景気に陰りが見え始めた。海外投資や輸入が収縮する一方で輸出は依然強く、円高が進行した。[[1994年]]にはじめて1ドル=100円の大台を突破し、[[1995年]]春には瞬間1ドル=80円割れの史上最高値を記録した。*[[1995年]]~[[1998年]]夏: 超円高から円安へと向かった。1998年秋には一時1ドル=140円台まで下落した。国内ではバブル経済崩壊後、[[不良債権]]や金融機関の破綻などさまざまな問題が表面化し、1997年秋には大手証券や銀行の破綻など危機的な状況となった。また、海外では、[[1997年]]夏の[[アジア通貨危機]]や[[1998年]]夏の[[ロシア財政危機]]などの事件が起こっていた。*[[1998]]秋~:{{節stub}}

fx12

*[[1977年]]~[[1978年]]末: この頃、円高が進み、はじめて1ドル=200円を突破した。1978年末頃には一時1ドル=180円を突破した。*[[1978年]]末~[[1985年]]: アメリカの[[ジミー・カーターカーター政権]]下でのドル防衛政策の他、[[イラン革命]]の進行によるオイルショック懸念、[[ソビエト連邦ソ連]]の[[アフガニスタン侵攻]]で再びドル高となり、1980年には1ドル=250円付近まで円安が進んだ。以後しばらく200円~250円で推移した。*[[1985年]]~[[1988年]]末: 1985年秋の[[プラザ合意]]によるドル安誘導政策で急激に円高が進行した。プラザ合意発表直後に円ドル相場は20円ほど急騰し、1985年初には250円台だった円相場が1986年末には一時160円を突破した。その後も円ドル相場は史上最高値を更新し続け、1987年2月の[[ルーブル合意]]でドル安に歯止めかける方向で合意したもののしばらくドル安が進み、1ドル=120円台にまで上昇した。国内では、激しい円高の影響で輸出産業が打撃を受ける一方で、(当時としては)超低金利時代を背景に[[金余り現象]]が発生し、[[バブル景気]]へと向かった。この時期、[[石油輸出国機構OPEC]]の弱体化で[[原油]]価格も大幅に下落し、円高とあわせて、国内経済は原油相場の影響を受けにくくなった。*[[1989年]]~[[1990年]]頭: 円ドル相場は円安傾向となり、120円台から160円付近まで下落した。この頃、国内はバブル経済の最盛期に向かう一方で、世界的には[[冷戦]]時代が終結に向かいつつある時期でもあり、[[六四天安門事件天安門事件]]、[[東欧革命]]、[[ベルリンの壁崩壊]]など歴史上大きな事件も進行していた。

fx11

==円相場の歴史==[[Image:JPY-USD 1950-.svgthumb275px対ドル為替レート(1950年以降)]]
[[Image:JPY Real Effective Exchange Rates (1970-).svgthumb275px[[実質実効為替レート実効為替レート]](1970年以降)
数字が大きいほど円高]]*[[1949年]]~[[1971年]]8月 円ドル固定レートの時代: [[戦後]]、日本は[[ブレトン・ウッズ協定ブレトン・ウッズ体制]]の下で1ドル=360円の[[固定相場制固定相場]]の時代となった。: [[第2次世界大戦]]の後、[[アメリカ合衆国アメリカ]]は、[[冷戦]]の中で[[西側]]世界のリーダーとなり、経済的にも繁栄し[[アメリカ合衆国ドルドル]]が[[基軸通貨]]となった。1960年代になると[[ベトナム戦争]]への膨大な出費などからインフレが進み、ドル不安が起こるようになった。ドル不安は[[1971年]]8月15日の[[ニクソン・ショック]]で表面化した。*[[1971年]]12月~[[1973年]]前半 スミソニアン体制: ニクソン・ショックの後、[[スミソニアン協定]]でドルの切り下げが決められ、1ドル=308円となった。*[[1973年]]2月 変動相場制への移行: ドルの固定相場制の維持が困難になり、日本は1973年2月に[[変動相場制]]に移行した。変動相場制の導入直後に1ドル=260円台まで円高が進んだが、1973年秋の[[オイルショック]]で 1ドル=300円近辺まで戻り([[有事のドル]])、1976年末頃までしばらく安定の時代となった。

fx10

==円高==2006年現在、110円以下になった時には、明確に円高という。
'''円高'''の際には、[[日経平均株価]]は急落することが多い。
また、[[輸出]]産業の業績が悪化し、[[輸入]]産業の業績が好調となる。* 輸入する時には、今までより安く仕入れる事ができるので、コストが削減できる。* 輸出する時には、円が高いために買ってもらいにくくなるため、利益が減少する。
==円安==2006年現在、120円以上になった時には、明確に円安という。
'''円安'''においては、[[日経平均株価]]は急騰することが多い。
また、[[輸入]]産業の業績が悪化し、[[輸出]]産業の業績が好調となる。* 輸入する時には、今までより高く仕入れなくてはならないので、コストが余計にかかる。* 輸出する時には、円が割安なので買ってもらいやすくなり、利益が増大する。

fx9

'''円相場'''(えんそうば)は、[[円 (通貨)円]]に対する[[外貨]]の相対的価値([[為替レート]])のこと。通常は、外貨1単位に相当する円貨額で表示する(通貨や市場によっては別の慣行もある)。
特に[[アメリカ合衆国ドル米ドル]]や[[ユーロ]]、[[UKポンド英ポンド]]との比較によって示され、その中でも米ドルに対しての「円の相対的価値」を示すことが多い。
==概要==国際市場において、[[日本]]の[[通貨]]である円の相対的価値が、何らかの意味で基準とみなされる水準よりも高い状態を「'''円高'''」、逆に低い水準であるとき「'''円安'''」という。
分かりやすく言えば、今まで1ドル120円だったが、1ドル115円になった場合には、'''円高'''になる。つまり、より少額の「円」で、1ドルと交換できるようになる訳である(同じ円貨額でより多くのドルを買えるようになったと考えると、通貨価値が上がったということが理解されやすい)。

fx8

スワップポイントとは、外国為替取引において異なる通貨間の取り引きをする際に、外国為替取引では通常2日後の決済となり通貨の交換をする際に生じる金利格差のポイントの事である。
この交換日を先延ばし(ロールオーバー)した際の取引通貨間の金利の差額をスワップポイントと言う。
金利の安い通貨を売り金利の高い通貨を買い保持し続けると、金利格差の差額分がプラスになる為にスワップポイントを得る事ができ、逆に金利の高い通貨を売り金利の安い通貨を買い保持し続けると、金利格差の差額分がマイナスになる為にスワップポイントを支払わなければならない。

fx7

== 欠点 ==* スプレッドは狭いが、売買手数料がかかる(店頭業者は [[スワップポイント]]、スプレッドで利益を得られるため手数料0の業者も多い)。* 取扱通貨が店頭取引と比べて少ない。* 取り扱い業者が限られる。* [[東京金融取引所]]が定めるレバレッジは高くて30倍程度であり,元手がないと大きくポジションを張ることができない。* レバレッジ(証拠金)が,最近の相場変動による定期的に変更されることがあり、損失が発生しなくても証拠金の積み増しを迫られることがある。

fx6

'''くりっく365'''は[[東京金融取引所]]が行っている[[外国為替証拠金取引]]である。
== 特徴 ==* くりっく365は取り扱いの業者から、東京金融取引所に対して注文をする形となる(取引相手は東京金融取引所)。* インターバンクと同等の価格、狭いスプレッド幅での取引が可能。* [[スワップポイント]]が売りと買いで同一。* 取扱業者が破綻しても、ポジションが東京金融取引所で保持される。また取扱業者の財務力も金融商品取引法の業者登録基準に加えて純資産30億円以上となっているため、そもそも破綻の可能性が通常の店頭取引業者よりも低い。* 申告分離課税として一律20%の税率で課税され、[[株価指数先物取引]]や[[商品先物取引]]など、他の取引所の先物取引と損益通算も可能。* 翌年から3年間にわたり繰越控除の適用が可能。*

fx5

==金融商品販売法の適用==本取引は、[[2004年]][[4月1日]]施行の「[[金融商品の販売等に関する法律]]」(「金融商品販売法」)の改正により、「'''直物為替先渡取引'''」に該当することが明確になった。(金融商品販売法 第2条1項12号、同法施行令 第4条)
このため、業者はリスク等に対する[[説明責任説明義務]]が課せられる。説明が尽くされておらず顧客が被害を蒙った場合は、業者は[[損害賠償]]責任を負うことになる。(同法 第3条1項2号、第4条)
==[[金融先物取引法]](現:[[金融商品取引法]])による規制==本取引は、かつては取引に関する法律(いわゆる「業法」)がなく規制もなかったため、多額の手数料を顧客から騙し取るといった悪徳業者が多発した。[[2005年]][[7月1日]]に金融先物取引法が改正されたことで以下の規制が設けられたが、過当競争状態になっている証券会社などでのトラブルや、本取引を騙っての詐欺事件が後を絶たない。
*業者は登録制となり、[[金融庁]]の監督下に置かれるようになった。*以下の禁止行為が設けられた。**不招請勧誘の禁止**契約をしない旨の意思表示をした人に対する再勧誘の禁止**断定的判断を提供しての勧誘の禁止*広告規制:手数料やリスクなどについての表示を義務づけられた。*書面の交付義務:契約締結前、取引成立、証拠金受領時にそれぞれ書面の交付が義務づけられた。*外務員が登録制となった。
※なお、この法律は金融商品取引法が施行された2007年9月30日に同法の一部として再構成され、廃止された。

fx4

==一部の取扱通貨について==近年成長著しい[[中華人民共和国中国]]の[[人民元元]]を取り扱っている業者は少なく、扱っていてもスワップ金利が付かない場合や、中にはスワップ金利が売り買い共にマイナスというケースもある。これは、中国元の元市場が先進国の通貨に比べて自由化されておらず、通常の方法で取引でできないためである。
==主なリスク==; 外国為替相場の変動リスク: 相場の変動がある以上、利益が期待できる反面、損失を受ける場合がある。証拠金の何倍もの取引を行うことができるため、損失が預託した証拠金を超え、さらなる証拠金を請求されることもあり得る。; 業者に対する信用リスク: 客から委託された証拠金を、自社の資産とは別勘定で[[信託銀行]]に[[信託分別管理]]するといった保全管理をしていない業者の場合、破綻した際には預託していた証拠金が戻ることは期待できない。業者によって証拠金の管理方法が異なるので、約款などで確認する必要がある。; マイナススワップポイントのリスク: 高[[金利]]の通貨を売り、低金利通貨を買う取引をする場合(2006年12月現在ではドル売り円買いなど、多くの円買い取引がこれに相当する)、スワップポイントの支払いが必要となる。スワップポイントはその通貨ペアの金利差が逆転しない限り支払わなければならないので、特に長期売買の時には「スワップポイントの収支」が多額になることがある。

fx3

==ロング・ショート==外国為替証拠金取引では、常に何らかの通貨を売り、何らかの通貨を買う、という取引をする。これは、日本円でバナナを買う際に、バナナを買って日本円を売っているわけでもあるのと同様である。外国為替証拠金取引ではバナナの代わりに通貨を用いており、例えば、日本円を売って米ドルを買う、米ドルを買ってユーロを売る、というような取引をしている。
「買い」の方の通貨をロング、「売り」の方の通貨をショート、と呼ぶ。上記の例では順に、ドルロング円ショート(またはドル円ロング)、ユーロショートドルロング(またはユーロドルショート)という言い方になる。また、通貨のペアはUSD/JPY、EUR/JPY、EUR/USDなどと表記が決まっているので、「ドル円ロング」といえば円はショートされている。同様に「ユーロドルショート」と言えば、ドルはロングされている。ただし同じ取引を、円ドルショート、ドルユーロロングなどという言い方は慣例としてしない。
==外国為替証拠金取引の例==1ドル=120円、レバレッジ20倍で取引する場合、60万円(5000ドル相当の円)を証拠金として預託すると、5000ドル×20倍=10万ドルの取引が可能となる。つまり、証拠金は取引額の5%になる。1ドル=120円のときに取引開始して10万ドルを買い、その後、円高となって1ドル=115円になったとする。このときの収支は、
* 1ドルあたり 115円-120円=-5円 であるから、10万ドルでは50万円の損失である。* また、証拠金は1ドル=120円のときに、5000ドルであるから60万円である。* 初めの証拠金の60万円に対して50万円の損失を差し引くと、残るのは10万円だけであり、初めの1/6となる。
上記と逆に、円安となって1ドル=125円になった場合は、50万円の利益となる。つまり、初めの証拠金の60万円が110万円となり、およそ2倍となる。

fx2

* [[レバレッジ]]を利用することによって証拠金の何倍もの外貨を取引することができる。* 為替レートが同一の時の、売り相場と買い相場(他の外貨商品でいう、電信買相場(TTB)と電信売相場(TTS))の差(スプレッド)が他の金融商品に比べて小さい。* 金利差による[[スワップポイント]]も、他の金融商品より有利な場合が多い。
===課税方法===為替差益に対する課税は外貨預金が[[雑所得]](総合課税)で外貨MMFが非課税、利子は外貨預金・外貨建てMMFとも[[利子所得]]([[所得税]]・[[住民税]]合わせて20%の[[源泉分離課税]])となるが、外国為替証拠金取引(FX)は取引方法により2種類の課税方法に分かれる。* '''店頭(相対)取引''': 差益・スワップポイントとも雑所得(総合課税)。先物取引など他の取引との損益通算・損失繰越は不可。* '''[[くりっく365]]'''([[東京金融取引所]]による取引所取引): 差益・スワップポイントとも雑所得(所得税・住民税合わせて20%の[[申告分離課税]])。[[先物取引]]との損益通算・3年間の損失繰越が可能。
==レバレッジ==外国為替証拠金取引では、レバレッジを利用することにより、証拠金以上の外貨を取引することができる。レバレッジの倍率を高くするほど為替相場の変動によるリスクは高まる。取引業者によっては400倍もの高レバレッジも設定可能である。逆に証拠金と同額の外貨を取引する(レバレッジ1倍)という外貨預金に近い比較的低リスクな取引もできる。
仮にレバレッジが100倍で取引した場合、1%の変動(1ドル=100円から1ドル=101円)が100%の変動になる。利益なら証拠金が2倍になるが損失なら証拠金全額を失う。
実際には[[商品先物取引商品先物]]の証拠金取引と同様、損失が一定額を超えると、[[損切りロスカット]]ルールによって強制的に反対売買がなされる。またそれよりも損失の小さい段階で追加証拠金の差し入れ(追証)を請求される(マージンコール)場合もある。

fx1

'''外国為替証拠金取引'''('''がいこくかわせしょうこきんとりひき''')とは、証拠金(保証金)を業者に預託し、主に差金決済による[[通貨]]の売買を行なう取引をいう。「'''FX'''」、「'''通貨証拠金取引'''」、「'''外国為替保証金取引'''」などともいう。
[[日本]]では[[1998年]]に[[外国為替及び外国貿易法]]が改正されて、豊商事株式会社、ダイワフューチャーズなどが取扱いを開始、[[ブロードバンドインターネット接続ブロードバンド]]の普及も手伝って市場が急速に拡大した。[[商品先物取引商品先物会社]]、[[証券会社]]のほか、本取引を専業で取り扱う業者もある。取引の仕方によってはハイリスク・ハイリターンとなるため、外国為替相場に関する十分な知識や経験を要する。
==特徴==外国為替証拠金取引には、[[外貨預金]]・[[外貨]]建て[[マネー・マーケット・ファンドMMF]]など、他の外貨建て金融商品と比較して、以下の特徴がある。
* 多くの外貨建て商品では、通常外貨を買ってから後に売るという取引になるが、外国為替証拠金取引では逆に外貨を売ってから一定期間後に買い戻すことも可能である(いわゆる「売りから入る」取引)。また、[[円 (通貨)日本円]](JPYと略する)しか持っていなくても、「[[アメリカ合衆国ドル米ドル]](USD)を売って[[ユーロ]](EUR)を買う」といった取引も可能である。