被保証債券をさらに詳しくみると、公的セクター(地方債など)及び、資産担保証券(Asset Backed Securities=ABS)に大別され、一般社債等の保証は行っていない。保証対象の資産担保証券の種類は多様だが共通する基本的な特性として、ABSの優先(シニア)債への保証のみを行い、劣後債への保証は行わないということがあげられる。ABSにおいては、「大数の法則」が働き、信用状態が悪くなっても、劣後債が最初に損失を蒙る。このため、優先債の急激な信用悪化は一般的には無い。また、優先債全額を保証するモノライン保険会社は、一般的にABSの構造上、いわゆるコントロール権をもっている。このコントロール権を利用することにより信用状態が悪化しはじめた場合には積極的に関与するため、一般的なABSの優先債投資家よりは立場が強い。
=== 保証という金融商品の特性 ===金融保証という商品の最大の特色のひとつとして「主債務の''当初約定通りの''元利金の支払いを行う」ということがあげられる。例として、年2回利払いのある、30年後に満期を持つ債券が5年目に支払い不履行をおこしたとする。この場合、金融保証会社は支払い不履行のあった5年目から、30年目までの25年分の6ヶ月毎の利払いと、30年目の元本をその''支払い期日が来たときに''支払う。債券の利率(クーポン)は、一般的に債券元本に対し数パーセントである。この結果、複数の主債務者(債券の発行体)が支払い不履行を行った場合においても保証会社において流動性不足を生じないように計算・分散されている。この様な金融保証は「スケジュール・ペイメント保証」とも言われる。